2013 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンにおけるデング熱媒介蚊の集団遺伝学的研究:飛翔パターンと感染経路
Project/Area Number |
25303020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 幸三 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (80634435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 准教授 (10302192)
大村 達夫 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (30111248)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症 / 土木環境システム / 生態学 / 遺伝子 / 国際貢献 |
Research Abstract |
研究計画の1年目となる平成25年度は,課題1「フィールド調査および生物サンプリング」および課題2「蚊の地域間交流パターンの集団遺伝学的調査」を実施した。調査地はフィリピンのルソン島・マニラとレイテ島・タクラバンの二か所を予定していたが,レイテ島・タクラバンは昨年度の台風災害により調査が難しいと判断し,タクラバンと同様の人口規模を有するルソン島・ターラックに調査地を変更した。マニラとターラックの2都市で,課題3,4の分子生物学的分析に使用するネッタイシマカ個体を採取した。住居内にある水たまりを中心にネッタイシマカの幼虫や卵を採取した。 課題2では, DNA多型マーカーを使って,微細空間スケールで見られるネッタイシマカの集団遺伝構造を調査した。採取した各標本の足と翅部から DNAを抽出した。本年度は主に,微量サンプルから十分量のDNAを抽出する最適な実験プロトコルの検索や,効率的に複数のマイクロサテライトマーカーをPCR増幅する実験条件の検索などを行った。また,ゲノムワイドの遺伝情報を次世代DNAシークエンシング解析で取得するRAD解析の予備実験も完了した。また,マニラで得られた一部個体サンプル(100個体)からデングウイルスRNAの検出を試みたが,すべて陰性だった。 研究開始と同時に,複数の現地共同研究機関と役割分担に関する打ち合わせを行い,デラサール大学,熱帯医学研究所,感染症研究所等らと合意できた。また,平成25年9月20日に,愛媛大学が主催する形で,本科研プロジェクトを中心とする研究グループらが研究発表を行うデング熱シンポジウム「Broadening Perspectives and Methods in Studying Dengue」をマニラのファー・イースターン大学で開催した。当日は70名以上の学生や若手研究者が集まり,有益な意見交換ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地タクラバンにおける台風災害の影響を受けて一部調査地点の変更があったものの,迅速に大体調査地(ターラック)を選定して調査を開始できたので,概ね計画通りに順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
分子生物学的実験に必要なネッタイシマカサンプルを十分量に採取した後に,DNA情報を使った蚊の集団遺伝解析およびウイルスRNA解析による蚊集団のデング感染率を解明していく。さらに,GIS解析を開始して,土地情報や雨季の出水情報を整理し,蚊の生息環境条件や気候変動に伴う蚊幼虫の生息分布予測に必要なデータ収集にも着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度から一部開始する予定にしていた次世代DNAシークエンシング解析等の分子生物学的実験を次年度にまとめて集中して行う実験計画に変更したため。 分子生物学的実験の消耗品や委託解析費として主に使用する計画である。
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