2013 Fiscal Year Annual Research Report
災害復興における計画策定とその実装に関する国際比較研究
Project/Area Number |
25303023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野田 泰明 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00185654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 賢明 立命館大学, 政策科学部, 教授 (20127369)
佐藤 健 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90290692)
祐成 保志 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (50382461)
平野 勝也 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00271883)
姥浦 道生 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20378269)
坂口 大洋 仙台高等専門学校, 建築デザイン学科, 教授 (70282118)
野村 俊一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40360193)
佃 悠 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90636002)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 復興計画 / 計画実装 / 国際情報交換(インドネシア) / 復興住宅 / 復興関連組織 / 居住環境評価 / 復興評価 |
Research Abstract |
初年度は、様々な種類の自然災害が比較的短期間に集中しているインドネシアにおいて、1. 復興計画の策定、2. 復興計画の実践、3. 復興環境の評価についてフィールドサーベィを行った。インドネシアについては復興事例の紹介例は多いが、復興計画がそのように実現された理由を解説したものや実際に復興した環境に関する評価については、必ずしも解説が十分とはいえなかった。大規模な津波被害を受けたアチェ、地震から復興したジョグジャカルタ、この二つの地域の被災地域の現状と、ジャカルタで政府組織の何人かから中央政府の考え方について聞いた。 アチェ(外国からの協力を活用した上からの復興):アチェ中央政府が大きくバックアップ体制を敷く一方で、外国からの支援を上手く使いながら、それを全体の復興計画の中に位置付けていくパッチワーク的な対応が行われている。大型の復興基金を持った海外の団体は、丘陵地に競うように巨大な復興団地を造成している一方で、各コミュニティに入って現地再建を支援した地域も存在する。これらは一見無秩序に見えるが、地元自治体やBAPPEDAメンバーの中のキーパーソンが、各支援団との間を丁寧に繋ぐことで逐次作り出されたものであった。一方のジョグジャカルタにおいては、コミュニティが強く、社会関係資本が充実していることから、それを活用する方向で復興が進められた。政府が被災住戸の復興に必要な現金を各集落に分配し、村長が地場の建設技術者の指導を受けながら半セルフビルド状態で住宅復興を成し遂げており、地元大学の支援も有効に働いていた。こうした既存コミュニティを尊重した方法を採用することで、復興速度が速いと同時に地域の建築資源が活用されたサスティナブルなものとなっている。 日本に比べて、復興財源が潤沢でない分、地域資源や海外からの支援を活用しながら、地域の実情に合わせた復興が行われていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 復興計画の策定:比較的資料が残っている部分もあり、相互に比較できる内容についてはある程度の把握が出来た。しかしながら、インドネシア語で記述された資料が過半で翻訳に若干時間がかかること、現地ヒアリングの結果、記録に残ってない部分も多いことから限界もあった。2. 復興計画の実装:既往文献には載りにくい部分であるが、詳細なヒアリングを通して、アチェとジョグジャカルタの復興スタイルの違いは、災害の違い(津波、地震)だけでなく、それぞれの地域状況を見たうえで実行された復興事業の結果であることを理解できたことは収穫であった。しかしながら、復興から時間がたっていることもあり、関係組織がどのように関与したのかに関する詳細な分析が難しい状況にもあった。3. 復興の評価:今回現地を実際に見て、かつ一部住まい方等についての記録や住まい手の評価を得られたことで大まかな理解は出来た。ただし、それら主観的な部分をどのように客観化し得るかについては今後の課題である。以上、概ね予定した進捗状況であるが、分ったゆえの課題も明確になり、若干追加調査を行う必要が生じているようだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度深めたインドネシアでの知見をもとに、次年度はニューオリンズを中心に調査を展開する。本年度のインドネシアでの調査では、中央政府・地方政府ではなく、NPOなどのマルチステークフォルダーが積極的に復興に関与し、かつその内容は地域の社会資本と深く関わっていることを理解した。しかしながら、状況が複雑であり、ステークフォルダーマップを作るまでに至らなかった。次年度は、インドネシアで補足的な調査をおこなう一方で、ニューオリンズ研究者との事前情報共有を徹底して、キーパーソンを漏らさず補足できるよう留意したい。その際に、東日本大震災の復興に実際に深く関わっているに研究チームの特性を生かして、主要メンバーの活動とそこにおける課題を英文でのわかりやすいパッケージとして統合し、ヒアリングの誘導等などに活用する。 特に、復興計画策定にあたってどのような人間関係が構築されていたか、主な関係者の関わりとその課題などを丁寧に見る。それと並行して、時系列での計画進捗や鍵となった分岐点の整理(時間)、政府の復興関係資金の流れと時期(資金)、の二つのチャートを作成することで、調査の展開をより合理的なものとしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者(計1名)について、本年度のインドネシアにおける合同調査の日程が合わず、調査に参加した研究代表者ならびに研究分担者等の帰国後に、調査結果の情報共有とレビューにて代用したため、旅費を未使用としてしまった。 次年度は、研究代表者ならびに研究分担者等の間で、綿密な日程調整を重ねて、本年度のようなことが起こらないように努める。 次年度に予定しているアメリカにおける合同調査の事前打合せの旅費ならびに合同調査の旅費として、使用する予定である。
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[Presentation] 東日本大震災と都市計画2014
Author(s)
姥浦道生
Organizer
国土交通大学校 専門課程 区画整理研修
Place of Presentation
国土交通大学校 小平本校(東京都小平市)
Year and Date
20140129-20140129
Invited
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[Presentation] 東日本大震災と都市計画2013
Author(s)
姥浦道生
Organizer
国土交通大学校 専門課程 土地利用計画研修
Place of Presentation
国土交通大学校 小平本校(東京都小平市)
Year and Date
20130930-20130930
Invited