2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25303027
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
神谷 秀博 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20183783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
並木 則和 工学院大学, 工学部, 教授 (40262555)
塚田 まゆみ 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術専門員 (70376870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PM2.5 / バーチャルインパクタ / 固定発生源 / 希釈器 / 微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Virtual impactorを用いた煙道中でのPM2.5分離捕集法については、中国の連携研究者である清華大学Jiang准教授と2014年5月に北京で打合せを行い、中国の石炭プラントで、研究代表者らが中心となって制定したISO13271に記載の図面に基づいてJiang准教授の研究グループが設計・試作したPM2.5分離捕集装置と、研究代表者が設計した装置の性能比較実験を行うことで合意し、中国浙江省の中国企業の連携研究者であるYao博士のアレンジにより浙江省の石炭燃焼プラントで煙道及び凝縮性粒子を含むPM2.5の捕集実験を、Yao博士所有のナノ粒子域まで測定可能なシステムを利用して計測などを7月21日から一週間、分担者、学生を同行し実施した。 その結果、Virtual impactorを用いた煙道中でのPM2.5分離捕集法の測定では、日本側作製の分離装置に比べ清華大学の作製した装置によるPM2.5測定濃度は、3倍程度の値を示した。測定サンプルの詳細な分析を行った結果、日本側の設計の装置は、良好にPM2.5を超える粗大粒子の除去には完全に成功しており、ノズル構造の工作精度、吸引制御技術などにより両者の測定結果に差が現れたことが推察された。また、希釈器を用いた凝縮性粒子の測定も併せて実施し、石炭燃焼系では、中国でのプラントでも凝縮性ナノ粒子が計測されることが確認された。 欧州での計測については、8月にフィンランドのバイオマス製油所とフィンランドAalto大学のE.Kauppinen教授を訪問し、プラント測定の可能性を審議したが、欧州でもPM2.5は政治的要因もあり、測定具体化が困難であった。11月にフランス、ドイツのプラントを訪問して、次年度以降の共同測定の可能性を相談した。タイについても、ウイーン大学のSzymanski教授と共同測定を検討したが、政情不安もあり、次年度実施とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固定発生源の煙道中でのPM2.5/10のバーチャルインパクターによる分離・捕集、質量濃度計測法は、当初の予定通り中国清華大学の醤准教授らのグループ、及び浙江省のYao博士との連携により中国国内の石炭燃焼プラント、セメント工場の排ガスを用い、合同計測を行った。特に、代表者らが規格化したISO13271の図面に基づいて醤准教授のグループが独自にバーチャルインパクターを設計試作し、日本国内で商品化したインパクターと同じ排ガスで計測を行い、正確なPM2.5/10の分離・捕集に必要なインパクターの工作精度、吸引条件の精密さなど、ポイントが整理できた点は、当初の構想にない成果である。マレーシア工科大学のRashid教授のグループとは、クアラルンプール郊外の医療廃棄物焼却プラントで二度にわたる共同測定を、煙道中でのPM2.5/10の質量濃度測定に加え、希釈器を用いた凝縮性粒子の質量濃度変化、ナノ粒子域を含む粒度分布測定に成功したことは、国内の同様のプラントでは排ガス中の粒子濃度が極めて低いため、貴重なデータを得ることができた。タイについては、連携研究者のウイーン大学Szymanski教授の仲介により、カセタ―ト大学との連携が構築でき最新鋭の粒度測定機器も用いた火力発電所での計測が具体化できたが、政情不安により延期を余儀なくされている。欧州の廃棄物焼却場、発電所での測定は、Szymanski教授及びフィンランドAalto大学のKauppinen教授の協力により折衝はできたが、PM2.5/10は欧州でも重大な環境問題と認識され、商用プラントでの論文等の公表を前提とした計測は日本同様困難になっており、今後の動向により計測の可能性を追求する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間で測定が十分実施できていないバイオマス関係の燃焼排ガスを対象とした凝縮性粒子を含むPM2.5質量濃度測定を、インドネシアまたはマレーシアの東南アジア域で実施する。実施計画は策定できているタイについては政情をみて実施を検討する。 中国・清華大学とマレーシア工科大学との共同により実施したこれまでサンプリングした試料の化学分析、粒度分析などに基づく分級性能などの評価を行いながら、共同での国際共著論文執筆に取り組む。 日本と同レベルの排ガス処理、浄化技術を有する欧州には、PM2.5/10は重大な関心を持たれているが、実際のプラント計測は困難な状況は変化していないため、これまで折衝していないスイス・チューリッヒのETHやドイツの研究機関を訪問・議論を行い、プラントでの測定の可能性の追求やこれまでの研究成果を調査交流し、連携した実験室レベルでの共同測定に関しぎろんする。
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Causes of Carryover |
2015年3月にバーチャルインパクター製造会社との打合せのため大阪出張経費として用意していた国内旅費が、学内業務のため出張できなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大阪での打合せは海外計測には必要であり、国内出張経費として使用する。
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