2014 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル高分解能生態系変動予測モデルの構築と気候/人間活動変動への応答予測研究
Project/Area Number |
25304003
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
石井 励一郎 総合地球環境学研究所, 研究戦略推進センター, 准教授 (40390710)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 真如 高知大学, 自然科学系, 准教授 (50399325)
兵藤 不二夫 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (70435535)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 植生変動予測 / 生物多様性機能 / 時空間スケール / 衛星リモートセンシング / 中央アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴル国内の7地点の自動気象観測システム(AWS)から、気象及び土壌水分/温度の時系列データを取得した。衛星画像から得られる植生の空間分布パターンについて現地調査による検証をおこなった。同検証作業は植物成長が活発な夏季についておこない、植生の存在によって土壌水分が増加/減少している地点と時期を明らかにし、植生が土壌水分に対して与える「正負のフィードバック」の程度と、それが大きくなる時の条件を推定した。正のフィードバックが起こる生態学的プロセスのうち、短期的に発現する降水が植物の茎や根を伝うことで地下まで浸透しやすくなる効果、地表表面を被陰することで地表面温度を低下させ、植物体が障害となり地表面での風速が遅くなることで蒸発を減らす効果については、実測データを換算し入力できるよう、植生ごとの水利用特性を取り入れた水収支モデルを改良した。 本年度計画していた炭素同位体分析による土壌生成速度に関しては、現地調査時に各観測地点の複数深度から土壌サンプルを採取したが、モンゴルの共同研究機関による輸出手続きが完遂されず、同分析が未完となり、次年度に持ち越すこととなった。 現地調査では、当初計画していなかった草原域で地形に沿って方形区を設置し、草本群集の種構成・種多様性を調査した。各地点での土壌サンプルを採取し乾燥して保存しており、このサンプルも次年度日本へ輸出し、土壌組成の分析を行うことを新たに計画するに至った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンゴルなど乾燥域の植生で、理論的に予測されている“土壌水分-植物現存量”、“植物現存量-耐被食生残率”の2つの“正のフィードバック”による非線形な植生応答のメカニズムについて、現地調査による気象/土壌環境データと森林のバイオマスのデータについては、順調に取得及び、モデルへの導入作業は順調に進捗している。植生を観測する為に用いる衛星画像の植生被覆の検証データは、現地観測の値に加えて、新たに森林-草原移行帯の対象地域の超高解像度の衛星画像が入手できたため、これを合わせて用いることにより、計画していたより高い精度の植生分布データを作成することが可能となり、その作業を開始した。一方、本研究の主眼である、炭素放射性同位体分析に基づく土壌生成プロセスの時間スケールの推定については、上述のとおり、サンプルの日本国内への持ち出しが未完のため、計画から遅れているが、分析行程を次年度に効率化して行うことにより、計画期間の修正への影響は最小化する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度には、日本国内へ土壌と生物サンプルの持ち込みができなかったため、同位体分析が実施できなかったが、サンプルはよい状態でモンゴルの協力機関に保存されているので、2015年度に採取するサンプルと合わせて輸入の上、同時に分析を行う予定である。中南部のより乾燥した植生帯の現地観測調査については、2014年度に引き続き現地研究協力者に協力を得て行う。また衛星リモートセンシングによるバイオマスの分布測定を外部機関の植生分布推定については、上記のように手法の修正があるため、モデルの構造もこれに合わせる形で進められるよう、領域と解像度について調整する。
|
Causes of Carryover |
生物・土壌サンプルの日本への輸出が年度内に行えなかったため、同位体分析の計画に変更があり、分析費用の執行額が減少した。これに関連するデータ整理補助の人件費についても、執行額が減少した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらは2015年度中に計画修正により実施予定であり、可能な限り2015年度の経費に追加して執行する予定である。
|
Research Products
(3 results)