2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム分化した野生イネの地理的分布ならびに生態調査に関する研究
Project/Area Number |
25304021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石川 隆二 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90202978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋一郎 京都産業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20145113)
中村 郁郎 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (50207867)
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 野生イネ / 適応戦略 / 遺伝資源 / 新種 / 生殖隔離 / 生態調査 |
Research Abstract |
2013年度はオーストラリアの野生イネの異なる生態型の適応戦略について調査を進めた.クイーンズランド州におけるアジア型多年生野生イネで構成されるClancyラグーン(CL),その上流にありアジア型多年生,オーストラリア型多年生,ならびにオーストラリア型一年生の混合集団の生息するPandanusラグーン(PL)の調査を行った.どのタイプの野生イネも深水耐性を示しながらも,103cm以上の深さには適応していなかった.そのため,アジアの多年生野生イネの特徴である浮きイネ性を示さなかった.これらを節間数ならびに草丈,水面下の桿長計測を行って検証した.雨期・乾期で水深が変動するPLは一定の水深まで水深が深くなるほど草丈が有意に高くなった(p<0.01).しかし,一年を通して安定して水供給のあるCLでは異なる傾向を示した.水深が浅い(1-15cm)場所に生息する個体の草丈は169.5±29.4cmであり,同じ遺伝子型であっても水深が 16-43cmとなると草丈は144.2±18.5cmとなった.浅瀬において有意に草丈が高かったのは深水条件よりも適応性が高い条件であったと結論された(p<0.05).遺伝子型により一年生と多年生を識別して桿長を比較したところ,岸辺から水深最大で103cmまでに両生態型が均等に生息していた.異なる生態型間の交雑後代と推定されるヘテロ個体も確認された.このことはJpn1からO. meridionalis,ならびにJpn2 への遺伝子流動があったためであろう.2種類の多年生系統の水深反応を比較すると,アジア型のJpn1は節数が増加することで深水に対応している傾向がみられた.これは核型が異なり,独立した進化経路をたどったことによる適応性の違いと推定される.今後は,これらの種特異的な環境適応性や形質を支配する遺伝的特性の違いに関して研究をすすめていくことで,アジアにない有用遺伝子源として利用することが期待される
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採取し,生態調査を行った野生イネについては,ゲノム情報を次世代シークエンサーにより取得した.そこから新たに種特異的なDNA情報を抽出して検証を行う事ができた.得られた遺伝情報から,アジア種との比較を行った.アジア型とされた多年生野生イネについては,オーストラリア固有種と同じ葉緑体ならびにミトコンドリアゲノムを有していることが明らかになった.しかし,核情報はアジアと同じであり,交雑後代からも種としての独自性はみられなかった.一方,多年生野生イネにおいて新種とみられる集団を特定し,ゲノム情報の解析を進めることができた.現地機関と共同して調査が進展し,2013年度は現地の共同調査も行うことができた.これまでの情報はRiceに投稿し採択された.よっておおむね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
異なる種がオーストラリアの特殊な生態系において適応する戦略について調査し,多年生型野生イネの独自な進化経路について明らかにしたい.昨年調査したCL,PLラグーンについては,そこから採取された個体のDNA情報について遺伝子型解析をすすめて集団構造解析を行う.このことによって,異なる進化を行った種の環境適応戦略についてまとめる.これまで他のラグーンにおいても種間での遺伝子流動が起こったことを推定するサイトがある.そのサイトにおける遺伝子型調査を行うことにより実証する.このような交雑種は種間における生殖隔離機構の存在を検証することにもなるため,実験的な交雑とあわえて,実際に異なるタイプが混在する集団での実態調査をすすめる.種間の交雑が起こっても,種として分化しているために低稔性になること,多年生についてはヘテロ型が栄養繁殖で生存することを検証する.また,西オーストラリアにおける生態調査を行って,オーストラリア大陸における種の生息状況をDNAマーカーを用いながら検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
野生イネ採取のための申請について時間がかかり,西オーストラリアでの調査が2014年度になったため。 2014年度6月に申請許可がおりており,6月ならびに8月に予備調査ならびに本調査として2回の西オーストラリア調査を予定している。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Molecular relationships between Australian annual wild rice, Oryza meridionalis, and two related perennial forms.2013
Author(s)
Sotowa, M., K Ootsuka, Y Kobayashi, Y Hao, K- Tanaka, K Ichitani, JM Flowers, M D Purugganan, I Nakamura, Y-I. Sato, T Sato, D Crayn, B Simon, D LE Waters, R J Henry and R Ishikawa
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Journal Title
Rice
Volume: 6
Pages: 26-
DOI
Peer Reviewed
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