2014 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム分化した野生イネの地理的分布ならびに生態調査に関する研究
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25304021
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石川 隆二 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90202978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)
佐藤 洋一郎 京都産業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20145113)
中村 郁郎 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (50207867)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーストラリアの野生イネ分布調査では西オーストラリアの分布を確認した.ダーウィンからクヌララまでの幹線道路沿いでは野生イネの分布をみず,クヌララ近郊での調査において枯死した一年生個体ならびに多年生オーストラリエンシスの分布を確認した.しかし,多年生個体の生息がみられなかった.これまで得られた標本は筑波,キューガーデンなどの主要なハーバリウムに寄託する作業をブリスベンハーバリウムのブライアン・サイモンに依頼した.生体での標本はクイーンズランド大学St. Luciaのロバート・ヘンリー教授の温室にて維持している.これらの標本から得られた種子からは,新種候補であるJpn2型の種子サイズは環境変異でなく明らかに種子の大型化が生じていることを確認した.葯が短く,鋸歯密度が高いという一年生,O. meridionalisの特徴を維持しているため,この系統から多年生に分化した仮説のもと検証を進めている.交雑稔性調査を継続しており,この結果も花粉稔性の低下ならびに種子結実不稔性という結果から確認された.クイーンズランドにおける多年生ならびに一年生野生種の調査をすすめ,同所的に生息しているマリーバのパンダナスラグーンの集団を季節毎に採取して遺伝構成の追跡を行った.同ラグーンの個体は葉緑体INDELマーカー,核SSRマーカーの組み合わせ,ならびに形態(葯長,鋸歯密度)の計測を行った.DNA解析からは,交雑種候補が見出された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね良好である. 調査地域をまわり,現地の状況を明らかにした価値は高いものがあり,今後の調査地点を絞るために有効であった.さらに,開発の現状から,西オーストラリア州での野生種の保護の必要性も検討すべきであることがわかった.一方,クイーンズランド州では生態調査と平行してゲノムデータの解析が順調に進んでおり各種マーカーが応用可能となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
オーストラリアの多年生野生種のうち,アジア型でないO.meridionalisと類似の細胞質ならびに核ゲノムを有する系統が新種であることの分類学的な結論をつけるために標本を分類学者に鑑定してもらう必要がある.これまで標本を各種ハーバリウムに寄託したため,オーストラリアの共同研究者と密に連携して達成する.
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Causes of Carryover |
石川隆二担当分では792円であり,翌年度との合算により海外調査を充実できるため.一谷,中村らは西オーストラリアでの調査などの状況が確定しておらず,現地情報を得てから再計画して2015年に調査を行うことが計画上妥当であると判断したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
西オーストラリアの現地情報を得るために西オーストラリア州政府の担当部局に情報収集にいくことを予定し,その内容により西オーストラリアもしくは,パプアニューギニアを含めて2015年の調査を行う予定としている.
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Research Products
(3 results)