2013 Fiscal Year Annual Research Report
異なる熱帯気候帯の環境変動比較から解き明かす魚類の測季システム
Project/Area Number |
25304032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 琉球大学, 理学部, 教授 (40222103)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サンゴ礁 / フィリッピン / アイゴ / 月周性 / 性成熟 |
Research Abstract |
熱帯域の沿岸に広がるサンゴ礁に生息する魚類は、水温や日長の変動が少ない環境に適応しながら繁殖活動を営んでいる。周期的に繰り返される繁殖活動は、この海域の魚類が熱帯特有の環境要因の周期性を感受・利用していることを示している。本海外調査は、熱帯起源の魚類が繁殖活動の同期に利用している環境要因とその内的伝達機構を明らかにすることを目的とし、1)季節変化が大きく異なるフィリッピンのサンゴ礁域に調査定点を設け、環境変動の詳細と魚類の繁殖活性の比較ならびに環境攪乱実験による繁殖関連の環境要因の特定、そして2)視床下部―脳下垂体―生殖腺系の上位に位置する脳部位にターゲットを絞った魚類の環境センサーの存在と役割の解明を行うこととした。平成25年度には2回の学術調査を以下の日程で行った。 (1)第一回海外調査(平成25年6月10日~14日):主たる調査拠点となる東南アジア漁業開発センター(イロイロ市)を訪問し、フィリッピン側共同研究者と研究の進め方について打ち合わせをした。調査地点としてIgan Marine Station周辺海域とし、新月にあわせてのゴマアイゴのサンプリングを9月から開始することで意見の一致を見た。 (2)第二回海外調査(平成25年12月1日~7日):第一回海外調査を受けてIgan Marine Stationにおけるサンプルの現地での解析を行った。その結果、いくつかの個体において生殖腺の発達が認められた。組織学的観察を行うために、各個体の生殖腺のサンプルを日本に持ち帰った。 (3)国内予備実験:Insulin-like growth factor (IGF)遺伝子のクローニングと発現組織解析を行い、肝臓で高い発現が認められることをリアルタイムPCRで確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた海外調査と国内予備実験を行うことができた。フィリッピンを直撃した台風の影響とこの調査のカウンターパートとなっている東南アジア漁業開発センターの都合で、サンプリング開始が9月にずれ込んだが、研究に必要となる最低限の尾数は集まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
一年間にわたるサンプリングは本年度9月に終了する。調査自体は順調に進んでいるため、このままのペースで海外調査を続けていく予定である。今後、東南アジア漁業開発センター施設を利用した環境実験も行う予定であるが、カウンターパートと密接な話し合いをしながら実験開始時期を決定していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度フィリッピンを襲った大型台風(30号:平成25年11月8日)によって、調査予定海域に少なからず影響がでた。そのため、サンゴ礁域に生息する魚類の繁殖と環境特性との関連を把握する研究において自然かく乱の影響が懸念された。そのため付加的に計画していた海外調査とそれに関わる国内解析がキャンセルとなった。この影響で海外調査に支出予定の予算執行に変更が生じた。 平成26年度は付加的な海外調査を増やして行う予定で、これによって予算を計画通り執行する。
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