2014 Fiscal Year Annual Research Report
EU諸国における小売対応型の青果物産地マーケティングの展開構造の解明
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25304034
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
李 哉ヒヨン 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (60292786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森嶋 輝也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30391486)
清野 誠喜 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90225095)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | POs in CMO / F&V Marketing / Secondary Cooperative / Merges of Cooperatives / PB / Large Scale Retailers / Supply Chain Building |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大手チェーン型小売企業の市場集中度が益々高まっている、EU諸国において、青果物の産地出荷組織が展開する小売対応型の産地マーケティングの実態を詳細に捉えることを目的としている。本年度(2014年度)の研究実績は、西欧諸国(ドイツ、ベルギー、オランダ―)において、最も青果物の出荷規模の大きい、いくつかの出荷組合への訪問調査を通して、これまで調査を進めてきた南欧諸国(イタリア、スペイン)の青果物出荷組合がとる産地マーケティング戦略との比較分析ができたことである。ちなみに、本年度に行った西欧諸国の調査においては、ドイツのPfalzmarkt、ベルギーのBelOrta、オランダ―のBest of Fourという青果物出荷組合のほか、ベルギーのCopa-Cogeca、オランダ―のDPA(Dutch Produce Association)の関連機関・団体を訪問し、エキスパートとの対面インタービューや関連データの収集が行われた。 西欧諸国においては、青果物の販売をオクション取引(セリ取引)に限定し、その取引所の開設および運営を生産者の協同組合にのみ認めていたという経緯がある。また、そのオクションは産地市場の機能を果たしているために、比較的に小さい産地を範囲とする多くの出荷組合が存在していた。しかしながら、近年は、国境を跨いで展開する大手小売企業が求める大規模出荷ロット、オクションを通さない直接仕入れ(購入)という条件を満たすために、出荷組合間の積極的な合併やセリ方式の取りやめが後を絶たないことが分かった。また、生鮮青果物の出荷組合は、サプライチェーンにおけるフォワードポジショニングには余り興味がなく、南欧諸国でみるような出荷組合の連合組織もしくは共同出資会社が青果物の加工ビジネスを展開するケースは極めてまれであった。この点は、南欧諸国の青果物出荷組合のマーケティング戦略と大きく異なる点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度計画に含まれていた、西欧諸国の現地調査はおおむね予定通りに実行されたが、イギリスの小売企業調査やフランスの青果物出荷組合への訪問が実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、フランスの大規模青果農協(Sica St Pol, Union Vergers, France Prune, Saveol)とともに、大手小売り企業(TESCO,METRO,AUCHANなど)や生協(MIGRO)の調査も実施する予定である。また、今年度においては、EUの青果農協の産地マーケティングの動向に精通した専門家(2人程度)を招へいし、国際セミナーを開催(10月頃)する予定である。同セミナーにおいては日本の青果物産地マーケティングとりわけ農協系統販売システムの現状と、共通農業市場制度の下でEUの専門農協が取り組むネットワーキング(合併、共同出資会社など)が比較され、大手小売りチェーンへの対抗力を備えうる、新たな青果物産地マーケティングのあり方を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、西欧諸国(ドイツ、ベルギー、オランダー)における合同調査のほかに、研究分担者個々人の研究テーマに合わせた個別調査が実施される予定であった。前者については、予定通りに実施を完了したが、後者について一部の分担者が実施を保留している。そのために、研究費の一部が未使用のままとなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に実施が完了できなかった海外調査については、次年度(平成27年度)の6月頃に早急に実施を完了する予定である。
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