2016 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・オセアニアにおけるオオコウモリ由来新興感染症の出現予測
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25304049
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本道 栄一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30271745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤波 初木 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (60402559)
大松 勉 東京農工大学, 農学部, 講師 (60455392)
前田 健 山口大学, 獣医学部, 教授 (90284273)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オオコウモリ / ウイルス / 新興感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
オオコウモリの行動は人間社会に影響を受けることがわかってきた。これまで、仏教国でのオオコウモリの行動観察を行ってきたが、2016年度には、まずフィリピンのオオコウモリAcerodon jubatusの行動についてFocal samplingおよびScan sampling法を用いて生態学的に検討した。別に行ったインドネシア共和国西ジャワ州でのPteropus vampyrusを用いた同様の生態学調査およびタイ王国チャチェンサオ県バンクラー市でのPteropus lyleiの調査結果に比べ、睡眠している個体が非常に多いのが特徴的だった。P. vampyrusおよびlyleiでは睡眠している個体は40%を越えたが、Acerodon jubatusでは時間帯によって40%を超えたときもあるが、平均すると20%から30%の間にあった。このことは生息地の風速と日の強さ(本研究で計測)と関係があると思われた。睡眠行動を行っていない個体についてはP. vampyrusおよびlyleiと同様、攻撃行動、生殖行動などを活発に行っていた。その割合については3種で類似していた。P vampyrusおよびlyeiの攻撃行動で最も特徴的だったのは、雌から雄への攻撃行動がほとんどを占めることであったが、A jubatusでも全く同じだった。すなわち、交尾行動を仕掛ける雄が、雌から拒絶されるときにおこる攻撃行動がそのすべてだった。主要な行動が、その割合において3種で類似しているということは、新興感染症出現予測を行う上で、シミュレート(計算)しやすいことを示していると思われた。すなわち、あるウイルスがオオコウモリ集団の中に侵入したとき、その拡散の仕方はオオコウモリ種共通で計算できる可能性がある。一方、その拡散速度は睡眠時間に比例すると思われるた。その他、血清学調査および気象情報の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画した調査はほぼすべて完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りで特に問題はない。
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Causes of Carryover |
当初必要と考えた血清学的調査の費用がおさえられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
費用を節約することによって生じた余剰の費用をより多くの血清学的調査に供する。
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