2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規網羅的全ゲノム解析法に基づくアジアのロタウイルスの分子疫学と集団流行動態
Project/Area Number |
25305022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10363699)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80396308)
ゴッシュ ソウビック 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30597175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ロタウイルス / 遺伝子型 / 分子疫学 / 中国 / バングラデシュ |
Research Abstract |
本年度は4年間にわたる研究の初年度であり、研究代表者は中国、インド、マレーシア、ミャンマーを訪問し、研究の概要を説明するとともに研究の協力を依頼した。その後これらの国では小児下痢症例からの便検体の収集と保管、PAGE法によるロタウイルスの検出、遺伝子型別などが進められている。一方我々の研究室では、以前から保管しているアジアの国からの非定型的ロタウイルス核酸検体を用いて、全遺伝子配列の解析を行った。それらは、G4P[10]ロタウイルス、G3P[9]ロタウイルスである。 G4P[10]ロタウイルス57Mは、インドネシアで検出、分離されたロタウイルスで、11遺伝子分節の電気泳動パターンにおいてNSP5遺伝子の移動度がDS-1遺伝子群のそれよりも遅い”supershort”パターンを示すことが特徴的である。57M株の遺伝子型は、G4-P[10]- I1-R1-C1-M1-A1-N1-T2-E1-H2と決定され、系統解析の結果も合わせると、57MはヒトロタウイルスのWa遺伝子群、DS-1遺伝子群の間の遺伝子群間リアソータントであり、そこにP[10]-VP4遺伝子が取り込まれた稀な成因によるウイルスであることが示唆された。 G3P[9]はヒトロタウイルスでは稀なAU-1遺伝子群に属し、その由来や生態はよくわかって伊いない。今回中国で近年検出されたG3P[9]ロタウイルス2株(L621および E2451)を解析した。これらの株の遺伝子型は、G3-P[9]-I3- R3-C3-M3-A3-N3-T3-E3-H6であった。今回の解析でAU-1遺伝子群に属する株は、ネコ/イヌロタウイルス株との関連が強く、それらからの直接伝播や共通の祖先ウイルスから分子進化した可能性が考えられるほか、ウマやウサギなど他の動物に由来または関連する遺伝子分節も含まれていると考えられた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は共同研究を予定しているアジアの国に訪問し、共同研究の同意を得て、すでに研究が開始されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在中国やインド、バングラデシュで収集されているロタウイルス検体について全遺伝子配列の解析を行い、数年から10年以上にわたる主流行ウイルス株の遺伝学的変化を調べる。ミャンマーについてはロタウイルスの検出と遺伝子型別を当面行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額はわずかでありほぼ適切に使用されたと考えられ、残額が生じた理由はない。 試薬購入代として追加する。
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