2014 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国における住民の治療選択行動に関する実証分析-疫学経済学からのアプローチ
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25305023
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
塚原 高広 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90328378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 琢磨 法政大学, 経済学部, 教授 (50364659)
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (50422457)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済政策 / 衛生 / 感染症 / 行動学 / 社会医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
治療可能な急性感染症は開発途上国小児の主要な死亡原因となっており、早期有効治療が可能な医療サービス提供および住民側の利用度向上が対策の根幹である。本研究の目的は、開発途上国の集団を対象として実証データを収集し、疫学と経済学の手法を併せて用いることで住民の治療選択行動さらには早期有効治療、疾病の有無に影響を与える因子を解明し、効果的な政策提言を行うことである。 本年度は、パプアニューギニアにおける調査許可および倫理審査承認を得て、人口動態調査と質問票調査を行い実証データを収集した。 (1)調査許可および倫理審査承認は、パプアニューギニア医学研究審査会、ディバインワード大学、東京女子医科大学にて得ることができた。(2)人口動態調査は、調査地域である東セピック州ダグア地区の1つのヘルスセンターの医療圏のうち沿岸部に位置する22村落、1500世帯を対象とし行い、世帯名簿、住宅地図を作成した。同時に村落の基本情報を収集した。(3)住民の治療選択行動に関連した因子について質問票を作成し、予備的な調査により妥当性を検討し質問票の改訂を行った。改訂した質問票を用いて、14才以下の小児のいる約1100世帯を対象とした質問票調査を2015年2-3月に実施した。調査への参加率は97%、小児の有病率は20%であった。同時に、医療供給者である診療所、ヘルスボランティアより診療記録情報を収集した。(4)既存のデータを用いて本研究の視点から分析を行い関連学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パプアニューギニア医療研究審査会より調査許可および倫理審査承認を得て、人口動態調査および質問票調査を実施し実証データを収集することができたことから、当初の予定通りに研究が進展していると考えている。また、経済学を専門とする分担研究者と議論しながら既存データを分析することを通じて、分析手法についても検討を加え学会発表を行った。この成果が質問票作成に生かされており、今回収集したデータの分析にも貢献が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きパプアニューギニアの調査により実証データ収集を行うとともに、26年度に得られたデータの実証分析を進めていく。 従来から対象としている東セピック州のボイケン・ダグア地区で継続調査を行うとともに、隣接する地域であるウェワクタウン地区、およびサンダウン州アイタペ地区の集団で質問票による調査を行う。医療供給者、医療行政担当者、医療協力関係者より情報収集(インタビュー、文献資料、医療記録)を行う。また、パプアニューギニアと同様にマラリアが流行している島嶼国間での比較をするためにマダガスカルで予備的な調査を行う。 26年度に得られた実証データを用いて離散選択モデル、マルチレベルモデルの適合性を検討し、治療選択行動、早期有効治療に影響する要因を経済学モデルにより分析する。 コミュニティでの採血調査は行わない予定であるが、血液サンプルとして医療施設で使用済みの検査キットを収集しマラリア原虫陽性率を算出する。
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Causes of Carryover |
当初は、2015年12月から3月まで質問票調査を行う予定であったが、調査地域の事情から、2015年2月から5月に変更になった。年度をまたいで調査を行うことから、基金を次年度へ繰越して使用する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年4-5月にパプアニューギニアで行う質問票調査に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)