2013 Fiscal Year Annual Research Report
ケニア無歯科医地域での健康人口学的調査を活用した統合型口腔環境疫学データの構築
Project/Area Number |
25305040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
林 善彦 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20150477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 一雄 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80134708)
福田 英輝 長崎大学, 大学病院, 講師 (70294064)
藤原 守 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40336178)
松裏 貴史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10721037)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ケニア / 無歯科医地域 / 口腔健康調査 / 小学生 / 高齢者 / 口腔環境疫学データ / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
ケニアでは、80%以上の歯科医師が大都市部に偏在し、地方住民は歯科医療の恩恵にあずかっていない。したがって、大都市部においては、比較的高頻度のう蝕罹患率であることは分かっているが、地方における調査は行われていない。ケニアにおけるでは、1960年代からの長い歴史と実績を有する長崎大学熱帯医学研究所の海外拠点が、ナイロビ及びビタに開設されている。本学に特徴的な熱帯感染症研所のナイロビ/ビタ拠点を活用して、これまで口腔衛生状態に関する疫学データが皆無であるケニアの辺境(無歯科医)地区における、HDSS(Health and Demographic Surveillance System, 健康と人口静・動態調査システム:特定地域の住民を対象に疾病罹患状態、死亡、移動、出生などを把握)と社会人類学的側面を加味した初めて本格的な口腔健康調査を実施した。 現地にてHDSSを活用したインタビュー調査と実際の口腔健康調査を行った。12歳児に関しては、これまで調査を実施した2つの小学校へ4年間の継続した調査を依頼し、了解を得た。すなわち、4あるいは5年生を毎年10月ごろ口腔健康調査し、4年間の口腔内の変化を観察することにした(ケニアの小学校は8学年まである)。本年度は2校で計164名の口腔内を調査で来た(事前にインフォームド・コンセントを全員からとった)。65歳以上の高齢者の口腔環境調査は、ビタタウンシップというビタ地区の最小の行政区域の約170名を対象とした。インフォームド・コンセントと基本健康アンケートを事前に現地のスタッフが行ったのち、本年度は2月に34名の居宅を訪問し、聞き取り調査と口腔健診を実施できた。34名全員が歯の重要性を訴え、咬むことの重要性を再認識できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象となる小学生へのインフォームド・コンセントが取れていることから、4年間の口腔健診が可能となっている。高齢者へのインタビュー調査については、HDSSデータを再確認したところ、調査対象者の約7割で実際の聞き取りができることを確認できた。現地のHDSS調査員の協力が可能で、今後の4回の調査の基礎的準備が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
急速に道路など交通・輸送面での整備が進んでいる現地において、社会環境の変化(具体的には都市化)と子供の口腔環境との関連性を調査できる最適な時期であり、年1回の小学校での口腔健康調査を確実に進めていきたい。 高齢者の調査は、現地のビタタウンシップを4地区に便宜的に分け、次年度は南部、時次々年度は中部、最終年度は北東部とすることを現地調査員の協力で実施していく予定である。特に南部地区は丘陵・山間地域が含まれているが、平成25年に現地を視察できたので、平成26年度の実地調査は支障なく進めることが可能である。 さらに、本プロジェクトのテーマの一つである現地に生育している植物由来の生薬と歯痛との関連性の調査は、本学とすでに学術交流協定を締結しているケニア中西部に位置するモイ大学歯学部との共同研究を進める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者の都合で1名が出張を取りやめたこと、また、現地での支援体制を考慮して調査地域をビタに限定したことから、旅費に余裕ができた。 生薬と痛みとの共同研究で、モイ大学のあるエルドレットへの出張旅費として補充する予定である。
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Research Products
(1 results)