2013 Fiscal Year Research-status Report
符号化に基づく高機能かつコンパクトな実践的グラフデータ構造の確立
Project/Area Number |
25330001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山中 克久 岩手大学, 工学部, 助教 (60508836)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルゴリズム理論 / グラフ理論 |
Research Abstract |
本年度は,主にフロアプランに対するコンパクトな符号を提案した.フロアプランは,VLSI設計や建築レイアウトに応用をもつ重要なグラフ(正確には描画されたグラフ)のクラスである.既存の研究では,フロアプランのグラフ構造をコンパクトに表現する2進符号が提案されていたが,それを拡張し,辺の長さを含めて2進符号で表現することに成功した.辺の長さを考慮することは,より現実的なフロアプランを表せることに対応するので重要な進展であると考えられる. フロアプランの中でも,モザイクフロアプランというクラスに対してもコンパクトな2進符号を提案した.この符号は,n個の四角形から構成されるモザイクフロアプランを 3n bit で表現できる.n個の四角形からなるモザイクフロアプランの情報理論的下界は 3n - o(n) bit であるので,提案符号は,漸近的にはこれ以上改善できないほどコンパクトな符号になっている. その他にも,スライシングフロアプランに対してコンパクトな2進符号を提案した.スライシングフロアプランは,再帰的な構造をもったフロアプランである.この再帰的な構造を符号化することで2進符号を定義している.単純な方法では,n個の面をもつフロアプランを 3n bit で表現できるが,スライシングフロアプランの性質を利用して符号長の改善を達成した.最悪時の符号長は 3n bit に近い値になるが,多くのスライシングフロアプランに対して有効である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
とくにフロアプランに関するコンパクトな表現をいくつかのバリエーションで与えられており,順調に研究が進んでいると考えている.モザイクフロアプランに関しては,情報理論的下界と一致するほどコンパクトな符号を与えることできており注目すべき結果である.既存の研究でも同程度にコンパクトな符号を与えられているが,本研究では別解法を与えることに成功している. スライシングフロアプランに対してコンパクトな符号を設計するという研究は(本研究で調べた限りでは)存在していない.しかし,スライシングフロアプランは応用的には数学的にも重要なクラスであるため,コンパクトな符号を設計することは興味深い研究テーマになり得る.今後の研究に期待が持てるテーマであると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をもとに研究を進めていく.現段階では,理論的な性能評価を与えているだけであるが,計算機実験を行うことにより提案手法の実性能を調査する.また,フロアプランだけではなくその他のグラフクラスに対してもコンパクトな表現が与えられないかどうかを検討する.
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