2014 Fiscal Year Research-status Report
符号化に基づく高機能かつコンパクトな実践的グラフデータ構造の確立
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25330001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山中 克久 岩手大学, 工学部, 助教 (60508836)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 符号化アルゴリズム / グラフアルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
主に2つの結果を得ることができた.ひとつは,VLSIへの応用をもつフロアプランというグラフクラスに対する結果と,数学的に重要な研究対象である置換分解に対する結果である. フロアプランは,VLSIへの応用を持つ重要なグラフである.本研究では,スライシングフロアプランという種類のフロアプランに着目し,コンパクトな符号化手法を提案した.提案した符号化手法(以下,提案符号)をプログラムとして実装し,計算機実験を行った.一様ランダムに生成したスライシングフロアプランに対して,提案符号を適用する計算機実験を行ったところ,単純な符号化法(以下,単純符号)と比べて,平均の符号長が短くなることを示すことができた.しかしながら,特定のスライシングフロアプランに対しては,提案符号と単純符号は同程度の符号長になってしまうことが実験により分かった.提案符号が苦手とするスライシングフロアプランに対して新たな符号化手法を考案することが今後の課題となる. さらに,モザイクフロアプランという種類のフロアプランに対してもコンパクトな符号を提案することに成功した.提案した符号は,理論的にはこれ以上改善できないほどコンパクトな符号になっている.すなわち,情報理論的下界と一致する符号長になることを示すことができた. 我々が提案した置換分解に対する符号を応用することで,置換分解の列挙・数え上げ・ランダム生成を行う効率の良いアルゴリズムを設計した.これは,コンパクトな符号が,置換分解の(ある意味での)構造を上手に表現していると捉えることもできる.コンパクト符号の応用例として価値の高い結果であると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工学的な応用をもつフロアプランに対しては非常に性能の良い符号化手法を提案することができた.スライシングフロアプランに対しては,計算時実験を行い,実性能を計測することも実施することができた.モザイクフロアプランに対しては,情報理論的にこれ以上改善でいないほどコンパクトな符号を提案することができた.また,数学的に重要な置換分解に対して,コンパクトな符号を応用することで様々な問題(列挙,数え上げ,ランダム生成)が効率良く解けることも示した.これらの価値の高い結果が得られたため,本研究はおおむね順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
スライシングフロアプランに対する提案符号は欠点もある.平均的な符号長は短くなることは計算機実験により確認できたが,一部のスライシングフロアプランに対しては,単純符号と比べて,符号長の改善が見られない.そのようなスライシングフロアプランに対しても,効率良く動作する符号化手法を提案することが今後の課題である.解決の方法としては,提案符号が苦手とするスライシングフロアプランに対しては,別のアイデアにしたがった符号化法を提案し,提案符号と新符号を組み合わせたハイブリットな符号化手法を考案することを検討する. 当該年度の研究で,置換分解の符号を応用することで,列挙・数え上げ・ランダム生成といった問題が効率良く解けることが実証できた.このアイデアが他の離散構造にも適用できないかを検討する.
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