2015 Fiscal Year Research-status Report
立体折紙の計算理論の展開と計算折紙ソフトウェアの開発
Project/Area Number |
25330007
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井田 哲雄 筑波大学, 名誉教授 (70100047)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 計算理論 / 計算折紙 / 幾何定理自動証明 / 立体モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度からの継続課題として立体折紙の計算理論の展開と計算折紙ソフトウェア(E-Origami-System,以下ではEOSと略す)の開発研究を推進した.昨年度までの研究調査の結果,立体折紙のモデル化に Geometric Algebra (以下GAと略す)の考え方が有効であることが明らかになりGAの応用研究に着手した.今年度はこの作業を継続し,GAの形式化をさらに進めた.前年度に行った2次元の場合の形式化を元に,今年度は,これを改良するとともに,3次元に拡張した.この研究には,定理証明支援系Isabelle/HOLを用い,エディンバラ大学のJ. Fleuriotと共同で行った.この形式化によって得られた結果に基づいて,記号処理ソフトウェアMathematicaを用いて,3次元GAソフトウェアモジュールを開発した.このソフトウェア を計算折紙理論の展開に活用するとともに,EOSへの組み込みを現在進めている.
折紙の基本操作として知られるHuzita-Justinの折紙基本操作ついても再検討し,Huzita-Justinの折紙基本操作を代数の視点からより精巧なものに定義した. 本年度末には,本研究と深い関連がある国際シンポジウム「ソフトウェア科学における記号計算」を会議議長として主宰し,関連研究者との交流や,共同研究者との研究討論を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論の展開と理論を活用した応用への実装は,スパイラル状に進めていくことにより,研究の質が高まっていく.本研究でも,実装を進めていくことにより,理論の不十分な点に気づかされることも,時々あり,geometric algebra (GA)の基礎に戻って,考察を繰り返すなどの作業が必要となってくる.この事は,研究を深めるには本質的に重要なことであり,皮相的な進展より重要性において,遙かに高い.
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には,本研究はまとめのフェーズに入っており,論文の形式でこれまでの成果を発表することが重要であると考えている.応用の面に関しては,本研究だけで閉じているものではなく,本研究に触発されて,意外な応用が生まれてくる可能性もある.そのためにも,厳密で,形式性の高い科学的な知見を残しておくことに,努力する.
|
Causes of Carryover |
本研究の一環として計画されている海外研究者との共同作業が完了するのに平成28年度までかかること,研究成果の最終的とりまとめの作業を平成28年度に行う必要が生じたことから,未使用額が発生した.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は,海外研究者の旅費と,研究成果のとりまとめに必要な経費として使用する予定である.
|
Research Products
(5 results)