2013 Fiscal Year Research-status Report
凸計画問題に対する近接座標勾配法の計算量解析と設計指針の体系化
Project/Area Number |
25330025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 信雄 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30293898)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 凸最適化 / 座標勾配法 / 計算量 / オンライン最適化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,大規模凸計画問題に対する一般化された勾配法(近接座標勾配法)の計算量を解析し,その解析に基づいた個々の勾配法の設計指針を構築することである.本年度の目的は,近接座標勾配法の収束性を解析することであった.その目的に関連して,以下の成果を得た. ・近接座標勾配法の1次収束するための条件を与えた.座標降下法やinexactな座標勾配法を含む一般的な近接座標勾配法を提案し,その手法が,既存の手法と同等の仮定のもとで1次収束することを示した. ・座標勾配法の計算量解析を行った.ガウスザイデル型のブロック座法勾配法に対しては,その計算量がO(N/e)となることが知られていた.ここで,Nはブロックの数(あるいは変数の数)であり,eは求めたい解の精度である.これに対して,新しい解析方法を導入することによって,O(sqrt(N)/e)となることを示した. ・疎性を利用したオンラインアルゴリズムを提案し,その計算量の解析を行った.特殊なデータ構造をもつ推定問題を考え,その特殊性(疎性)を利用したオンライン型の近接勾配法を提案し,その計算量を解析した. ・オンライン勾配法の金融工学への応用した.金融工学におけるユニバーサルポートフォリオとオンライン勾配法の関連性に着目し,より一般的なリスク指標を用いたユニバーサルポートフォリオを提案した.さらに,オンライン勾配法の解析手法を援用することにより,そのユニバーサルポートフォリオの性質を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は,一般化された近接座標勾配法が1次収束するための条件を解明し,さらにその高速化手法を開発することであった.1次収束するための条件は解明することができたが,高速化手法を開発することができなかった.しかしながら,当初は次年度以降に研究をすすめることにしていたオンライン最適化手法の計算量を解析した.さらに,それを金融工学に応用できることを示した.総合的にみると,研究は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,基本的にはこれまでの研究計画通りに実施する. ただし,座標勾配法に対して,従来の勾配法の高速化手法を適用するには,すべての変数を更新する必要がある.そのため,従来の高速化手法をそのまま利用すると,座標勾配法の少ない変数のみの更新を行うという特性を失ってしまう.そこで,今後は,個々の応用問題の特性を利用することによって,座標勾配法の高速化を考えることとする. また,研究が進展しているオンライン最適化に対しては,オンライン最適化と座標勾配法を組み合わせた手法を考え,その計算量解析を行うことにする.
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Research Products
(4 results)