2013 Fiscal Year Research-status Report
グラフ構造を有する集合被覆問題に対する近似アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
25330026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
趙 亮 京都大学, 情報学研究科, 講師 (90344902)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | distance dominating / distance covering |
Research Abstract |
本研究は、グラフ構造を有する集合被覆問題に焦点を当て、グラフの性質を利用してアルゴリズムの改善を図り、複数の問題設定の導入や分散アルゴリズムの設計等、多方面から集合被覆問題の本質に迫ることを目的としている。 平成25年度では、重み付きL-頂点被覆問題に対して、整数計画問題として定式化を行い、厳密に解くのが一般に難しい(NP困難)とされるので、それを線形計画問題に緩和し、さらに双対問題を導いて主双対法による近似アルゴリズムを考える。単純にやると近似比がO(n)となってしまうが、グラフの性質を利用して双対変数を調整し、近似比を改善したい。 すべてのグラフに対してO(1)の近似比を保証できるアルゴリズムの設計が難しそうに思えたため、次の手順で研究を進めることにした。(1)まずたくさん実験をして主双対法の実用的近似比を調べ、特に悪い例を研究して理論的に改善できる限界を見極める。(2)構造の単純なグラフを用いてアルゴリズムを設計し理論解析を行う。(3)前述の発見を踏まえて一般グラフの場合を考える。 (1)に関しては、グラフの性質を利用した高速な主双対法を開発し、実在しているネットワークやシミュレータで生成したグラフに対して実験した結果、ほとんどの場合、定数オーダーの近似比になっていることを確認できた(国際学会発表済み)。また(2)に関しては、極大外平面グラフという構造の簡単なグラフに対して、最適解の値に関して成果を得られ、国内研究会で発表した。また国際会議への投稿を準備している。近似比を保証するアルゴリズムや(3)の検討については、今後の展開とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、すべてのグラフに対して近似比を理論的に保証できるアルゴリズムを開発する予定であったが、現状では、一部のグラフに対して実験的に成功したアルゴリズム(これ自体は平成26年度予定の一部であるが、)や構造の簡単なグラフに対する最適解の見積もり法などが得られている状況にあり、学会発表こそ複数回もできたわけだが、当初の目標まではまだ届いていない。ただ、これまでに実験で得られた悪い例に対して検討した結果、近似比が悪くならないための工夫がいくつかわかってきて、目標達成は遠くないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの経験では、実験によって予想外の反例がしばしば見つかることが分かり、まず反例研究を行い、近似比が悪くならないための工夫を検討する。それらの工夫より、すべてのグラフに対しても理論的に保証できる近似アルゴリズムを開発する。さらに枝長付きの問題や多重被覆問題に取り掛かることを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時に予想していなかった長期海外出張のため,予定していた国際会議発表の旅費は使わずに済みました.同様に予定していなかった実験用ノートPC代を差し引いても約9万円が余りました. 旅費または人件費・謝金に使う予定です.
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