2015 Fiscal Year Research-status Report
コピュラを用いた多変量生存時間データの判別分析法とその医学データへの応用
Project/Area Number |
25330031
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴川 晶夫 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00277287)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 判別分析 / コピュラ / 打切りデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
コピュラ(多次元確率分布とその周辺分布を結びつける関数)を用いた多次元確率分布のモデル化に基づいて, 多変量生存時間データの判別分析法を開発し, 実際の医学データへの応用における有用性について検討することを目的としている。 打切りを含む多変量生存時間データに基づく未知パラメータ推定法を整理・開発し, 判別問題への適用の観点からその性質を調べた. ベイズ判別ルール等に基づいて判別手法を具体的に定式化した. シミュレーション実験に基づいて判別手法の誤判別率を数値的に評価し, 判別手法の性能や特徴を明らかにした. また, 定式化された判別手法について, その誤判別率の漸近評価公式を導出し, 判別手法の性質を理論的に検討した. また, 2変量アリキメデスコピュラを用いることにより独立な2変量正規分布に変換し, その変換された変量に基づく判別手法を定式化した。その判別手法の誤判別確率などについて, 理論的・数値的検討を行った.その結果, 2変量母集団分布にアルキメデスコピュラを仮定できる場合には, この判別手法がベイズ判別手法とほぼ同等の判別性能をもつこが明らかとなった. この手法は, 周辺確率分布に対するモデル化を必要とせず, ベイズ判別手法よりも, 実際のデータに対して柔軟に適用可能である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,次の項目を計画していた。 ① 多変量生存時間分布の様々なモデル化のもとで, この判別関数を導出し, その形状や性質などについて調べる. ② 多変量楕円型分布の仮定のもとで導出される判別法や, データマイニング法の研究のなかで開発されたサポートベクターマシンを用いた判別法などとの比較について検討する. ③ 医学における多変量生存時間データに関する専門知識的知識を反映させるかたちで, モデルの妥当性を検討し, モデルの改良や拡張などを行う.
①と②については、計画通りに研究を遂行した. また,③について, 医学関係者の専門知識を得て, それを分析モデルに反映させる研究を遂行した. しかし, ③については, モデルの拡張において検討が不十分なところが残った.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は, 次の項目について研究を遂行する. ① 医学における多変量生存時間データに関する専門知識的知識を反映させるかたちで, モデルの妥当性を検討し, モデルの改良や拡張などを行う. ② 定式化された判別法の性能を評価するためには, 誤判別率を知ることが重要である. 大標本の場合に誤判別率を近似的に評価するための公式を導出し, 大標本の場合における判別法の性能について検討する. ③先行研究において解析されてきた多変量生存時間データ(Mantel et al.(1977)のラットの腫瘍形成時間データ等)や, 研究代表者所属機関の医学研究科における近年の医学研究において得られた多変量生存時間データに対して, 本研究において開発された手法を適用し,開発手法の有効性や問題点を検証する.
|