2014 Fiscal Year Research-status Report
擬似尤度に基づく情報量基準の構築と過分散を持つ離散データの解析への応用
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25330034
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
汪 金芳 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10270414)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | sensitivity / specificity / cain algebra / conditional independence / causal inference / coq / ssreflect |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は以下の2つのテーマに分けて記述する。 (1)複数の読影者が存在するときの感度と特異度の推測 画像撮影などによるガンやアルツハイマーなどの難病の診断には、しばしば複数の専門家(読影者)による診断が行われる。読影者の診断結果の多数決や平均化などのナイーブなアプローチがよくなされているが、これらのアプローチは正当性に欠けることが多い。本研究では、多変量変量効果モデルを提案し、感度・特異度の信頼区間の構築を行った。シミュレーションなどにより、従来の方法より性能の改善が多くの場合が確認されている。この結果は国際会議などで発表をし、学術論文として投稿準備中である。 (2)条件付き独立性の形式化の研究 統計的因果推論を行うための本質的な概念としての条件付き独立性に関して、Dawid (1979)の研究以降、様々な公理論的なアプローチがなされている。PearlのGraphoidとDawid のSeparoidが最も有名であるが、本研究代表者は条件付き独立性に関わる確率密度関数の代数的な性質を抽出し、Cain代数(Wang, 2010)を提案した。Cain代数では、すべての命題を等式で記述される利点がある。今年度は、type theory基づいて構築された代表的な証明支援系言語の1つであるcoq/ssreflectに基づいて、cain代数の利点に着目し、その形式化の研究に着手した。数学理論の形式化の研究は世界的に行われ初め、本研究はその大きな流れの中の1つの支流と見なすことができる。今年度に得られた研究成果の一部は既に国内外の研究集会で発表されており、また学術論文として投稿している最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計科学を含む数学理論の形式化の研究は世界的に行われ初め、我が国は遅れをとっている状況である。数学理論の電子化は学術的な価値のみならず、新たな産業を掘り起こす起爆剤にもなりうる。このような状況の下で、今年度では、当初の「研究の目的」より若干方向を転換し、研究代表者自身が提案した代数統計学の理論の形式化の研究・共同研究を精力的に推進した。得られた研究成果の一部は既に国内外の研究集会で発表しており、また学術論文としても投稿している最中であり、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はcainoidの形式化に成功したが、次のステップはいよいよcain代数のより本質的な部分である積分に関わる公理の公式化に着手する。公式化の作業は膨大なものであるが、条件付き密度関数の代数的抽象体であるcoinのcannical expression(正準表現)の形式化ができれば、積分に関わる公理の公式化は容易であろうことから、次のステップはcoinの正準表現の形式化に焦点を当て、研究を進めていく予定である。さらに、長期的展望として、cain代数に因果推論を行うための公理を追加し、情報科学と統計学の知見を結合させ、形式的因果推論の研究を視野に入れて研究を行っている予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はより基礎的な研究を行い、得られた成果を次年度の国際会議などで発表する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主な使用予定は以下の通りである。(1)形式化に関わる研究補助費の支出。(2)国際研究集会における研究発表のための旅費1:60th World Statistics Congress 。(3)国際研究集会における研究発表のための旅費1:The 6th International Conference on Interactive Theorem Proving 。
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