2014 Fiscal Year Research-status Report
水産資源の管理ストラテジーとエコロジカルリスク評価に関する統計的研究
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25330036
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
北門 利英 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (40281000)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資源管理ストラテジー / 統計的推定 / エコロジカルリスク / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,水産資源に対する管理ストラテジーとエコロジカルリスク評価について統計学的視点からアプローチしている.特に,1)評価に用いる資源動態モデルと統計的推測法,2)不確実性を考慮した資源回復計画やリスクの客観的評価法,そして3)国内外への資源への適用,について取り組むことを目的としている. この目的のために,平成25年度は主に海産哺乳類を想定した資源動態を題材に,種々の統計的モデリングについて研究を行った.そこで平成26度はこれらの成果を基に,継続的に方法論について検討するとともに,海産哺乳類の実データへ適用を行い管理ストラテジーとエコロジカルリスク評価を行った. 例として北海道に来遊するトド個体群に対して,資源の動態を予測した.また,それを基に将来の管理目標に応じて決定論的なチューニングと内部的な安全弁を取り入れた順応的の管理方法を提案し,その性質をシミュレーションにより検討した.とくに限られた情報下での順応的な捕獲量決定法の選択に重点をおいた.リスク評価のシミュレーションにおいては過程誤差を取り入れた.過程誤差の程度はリスク評価に大きな影響を与えるが,今後さらにパラメータのインプット値や推定誤差をより適切に扱うことで不確実性に頑健な管理方法の開発が可能となる.なお,この検討結果は水産庁「トド管理基本方針」で定められた管理目標を達成すること示しており,この方法により計算された採捕数の上限値が実際の資源管理に利用された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「準絶滅危惧」として登録されているトド個体群に対して本研究課題について適用し,一定の成果を得ている.また「絶滅危惧Ⅱ類」に登録されいる個体群へも適用を実施中であり,モデリング,推測,そして実際の資源への適用がそれぞれ具体的な形で遂行されている意味で概ね順調と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年である平成27年度は,資源管理ストラテジーの提案とエコロジカルリスク評価に関する研究成果のとりまとめにあたるが,とくに齢構成モデルを仮想現実としたモデルへの拡張を行い,より一般的な視点から資源管理ストラテジー評価のフレームワークについて研究を行う.また,研究の成果を国際学会にて発表することとする.
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Causes of Carryover |
平成27年度に開催される国際学会での発表に変更したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に開催される国際学会への参加旅費として利用.
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