2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤越 康祝 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (40033849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 宏和 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70342615)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多変量回帰モデル / 成長曲線モデル / AIC規準 / Cp規準 / 高次元漸近的枠組 / 規準量の一致性 / 高次元漸近分布 |
Research Abstract |
本研究においては、多変量モデルの選択規準に基づく変数選択問題、多変量推測統計量の高次元漸近分布の導出、および、得られた結果の数値的検証と応用に取り組むことを目的にしている。これらの目的に関連して、多変量回帰モデルおよび成長曲線モデルにおいて新たな成果を得た。 多変回帰モデルにおいては、回帰係数の変数選択問題に対して高次元AIC規準を提案した。通常のAIC規準は、平均対数尤度に基づいて定義されるモデルのリスクの大標本漸近的不偏推定量として提案されるが、本研究では目的変数の次元と標本数が共に大きいという高次元漸近的枠組みのもとでの漸近的不偏推定量として提案している。一般に、モデル選択規準としてのAIC規準やCp規準は、大標本の漸近的枠組みのもとで一致性をもたないことが知られている。しかし、本研究では、高次元漸近的枠組みのもとで一致性をもつことを示した。 多変量成長曲線モデルにおいても、多項式のモデルの次数の選択、および、個体間説明変数の選択に関して、高次元規準量の提案やAICとCp規準の一致性に関して新たな結果を得た。とくに、多項式のモデルの次数の選択問題では、標本数と目的変数の次元を大にしたき一致性をもたないが、個体間説明変数の選択問題では、標本数と個体間説明変数を大にしたとき一致性をもつことを指摘した。 上記の問題解決においては、各種のモデル選択基準の高次元漸近的枠組みでの漸近分布の導出し、さらに、数値実験により、それらの近似の精度を調べている。 上記で述べた研究成果は、研究発表(雑誌論文)に掲げている3つの論文に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の概要に示しているように、多変量回帰モデルおよび成長曲線モデルにおいて、変数選択のための高次元AIC規準を提案し、また、高次元漸近的枠組みにおいて一致性などの性質を指摘している。一方、いくつかの多変量分析法において同様な結果を得ることは今後の課題として残されている。また、選ぶべき変数の数が大きくなったとき、これら性質がどのようになるかを調べるのも今後の重要な課題である。これらの問題に対しても、新たな結果が期待される。 以上のように新たな成果が得られているが、解決すべき課題も残されていることから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として、まず25年度に得た結果を多変量の他の分析法において展開することを目的にしている。具体的には、判別分析、正準相関分析、多変量逆回帰分析などにおける変数選択問題、および、次元の推定問題に対してもモデル選択規準に基づく方法とそれらの高次元漸近的性質を明らかにする。また、選ぶべき変数の数が大きくなったとき、さらには、選ぶべき変数の数が標本数より大きい場合に対しても、モデル選択法を発展させることを目的にしている。 上記の問題は、回帰分析モデルにおいて発展してきているので、これらを参考にしながら、本目標の課題に取り込む予定である。また、推測統計量の高次元漸近的枠組での漸近的挙動を、非正規の場合に拡張する問題に取り組むが、そのための方策としてランダム行列論を適用することを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していた洋書の出版が遅れたため、年度内に購入できなり次年度使用額が生じた。 購入を予定していた洋書の購入に充てる。
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