2014 Fiscal Year Research-status Report
実現ボラティリティ分布に基づくボラティリティ変動モデルの構築とその応用
Project/Area Number |
25330047
|
Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
高石 哲弥 広島経済大学, 経済学部, 教授 (60299279)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 実現ボラティリティ / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / SVモデル / GPU計算 / OpenACC |
Outline of Annual Research Achievements |
確率的ボラティリティ変動モデルのパラメータ推定にはマルコフ連鎖モンテカルロ法が用いられることが多い。このモデルのマルコフ連鎖モンテカルロ法では多数のボラティリティ変数のアップデイトが必要となり計算量が多くなる。本研究ではマルコフ連鎖モンテカルロ法としてハイブリッドモンテカルロ法を利用する。ハイブリッドモンテカルロ法を利用する利点は、すべてのボラティリティ変数を一度にアップデイトすることができることで、これによって変数の時間相関を低減することができる。また、ハイブリッドモンテカルロ法では変数のアップデイトが並列に実行可能である点も利点の1つである。本研究ではパソコンのGPUを利用して並列計算を実行するためのプログラムを開発した。GPUはNvidia社のGeForce GTX 760を利用した。プログラムの開発にはNvidia社のCUDAとPGI社のOpenACCを利用した。計算速度を比較するとGPU計算の方がCPU(Intel i7-4770 3.4GHz)での計算よりも17倍程度高速になることが分かった。また、CUDAによるGPU計算ととOpenACCによるGPU計算の比較も行った。OpenACCはプログラム中にディレクティブを挿入することによって比較的簡単にGPU計算を可能とするプログラムである。ディレクティブの挿入の仕方によっては、十分な計算速度が得られないが、適切なデータディレクティブを挿入することによってCUDAプログラムと同等の計算速度が得られることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、実現ボラティリティ変動モデルを推定するためのハイブリッドモンテカルロ法のプログラムをGPU上で実現することを目的しており、そのプログラムを開発し、CPU計算よりも高速に計算できることが確認できた。また、申請時には利用を予定していなかったOpenACCが利用可能となり、GPUプログラムが比較的簡単に作成することが可能となり、CUDAプログラムと同等の計算速度が達成できることが分かった。今後もOpenACCを利用してGPUプログラムを開発する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
GPU上でハイブリッドモンテカルロ法を実行するプログラムは完成したので、実際のデータを利用して実現ボラティリティ変動モデルのパラメータ推定を実行し、プログラムのパフォーマンスが高くなるように調整を行う。 そして、様々な会社の株価収益率データを利用して実証的分析を行う。推定には実現ボラティリティが必要となるのでまず、高頻度株価収益率データから実現ボラティリティを計算する。そして、実現ボラティリティ分布と株価収益率をインプットとしてパラメータ推定を行う。推定された実現ボラティリティ変動モデルを基にボラティリティの予測精度やオプション価格などを計算し、既存モデルとの比較を行う。
|
Causes of Carryover |
研究のためセミナーをしてもらう予定だった先生が本年度は都合が悪く次年度に招待することになったため。また、予定していた英語論文が完成しなかったため、校正費及び投稿料が未使用となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の7月にセミナーを開催する予定である。その時に招待する先生の謝金として使用する。また、英語論文の校正費及び投稿料に利用する予定である。
|