2015 Fiscal Year Annual Research Report
地震活動に基づく地中の物理パラメータの空間分布推定
Project/Area Number |
25330053
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
岩田 貴樹 常磐大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30418991)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 統計科学 / 地震 / 点過程 / ベイズ推定 / 地震活動 / 固体地球物理学 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 摩擦パラメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
地震活動をデータとし、直接観測することが困難な地中の物理パラメータの空間分布推定を行うことが、本研究課題の主目的である。今年度は、昨年度(平成26年度)に開発した、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いたベイズ推定手法を発展させることで、余震活動データから、「摩擦パラメータ」と呼ばれる物理量を、その空間的な差異を考慮しつつ、本震発生時の滑り分布と合わせて推定することを行った。実際の解析においては、その計算負荷との兼ね合いと、いくつかの試行錯誤的な予備計算の結果から、摩擦パラメータに深さ依存性を考慮したモデルが、現時点では最も適切と判断し、これに着目することとした。解析の結果、2005年宮城県沖地震や2003年十勝沖地震などに対して、摩擦パラメータの有意な深さ依存性を見出し、その定量的な推定を行うことが出来た。得られた深さ依存性の傾向は、これまでの地球物理学的知見から示唆されている摩擦パラメータの空間パターンとある程度整合的であり、本研究における開発手法の妥当性と、地中の物理パラメータ推定における地震活動データ活用の有効性が示された。 また、これと平行して、余震時系列の点過程モデルの精密化を試みた。「摩擦構成則」と呼ばれる物理則に基づく余震活動モデルに、「余震の余震」(二次余震)の影響を取り入れた点過程モデルを、昨年度に引き続いて開発し、この内容に関する論文を出版することが出来た。さらに、この物理則モデルに、経験則から来る余震活動モデルを組み合わせたモデルについて考察し、その実データへの適用も行った。これらの成果として得られた点過程モデルの一部は、上記の滑り分布および摩擦パラメータ推定に取り入れており、これによって、より現実に即したモデリングと、それに基づく推定を行うことが出来た。
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