2014 Fiscal Year Research-status Report
大規模ゲノムデータから遺伝子間相互作用を検出する統計的方法の開発
Project/Area Number |
25330054
|
Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
牛嶋 大 公益財団法人がん研究会, ゲノムセンター, 研究員 (60328565)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 多重検定法 / 遺伝子間相互作用 / False Discovery Rate |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では膨大な数の遺伝子間相互作用に対して表現形との関連を調べるための多重検定法の開発を行う。25年度は、これまでに開発したSNPデータに基づく遺伝子間相互作用の高速な探索法に関して検定の多重性を統計的に評価する方法を開発した。また、これをマイクロアレイデータに基づく遺伝子間相互作用の高速な探索法の開発へと応用した。26年度は、3遺伝子間の相互作用を探索する方法の開発を試みた。 網羅的ゲノムワイドSNP情報に基づくエピスタシス効果の探索アルゴリズムの改良を行った。特に高速化を図るため、主効果がない場合のデータ構造を明らかにし、主効果が存在する場合は解析対象から除外するアルゴリズムを組みこんだ。2遺伝子間の交互作用は複雑な相関構造をもつため、計算機シミュレーションによってFDRを評価する方法の開発を行った。3遺伝子間の交互作用への拡張も行い、同様にFDRを評価する方法の開発を行った。また得られた結果に対して生物学的に有意義であるかについて研究協力者と議論を行った。 マイクロアレイによる遺伝子発現データ解析では、SNP解析のために開発した遺伝子間相互作用の探索アルゴリズムを応用する。これまでの研究では検定の多重性を考慮した評価は行われておらず、またすべての遺伝子の組み合わせを探索したわけではない。25年度は、検定の多重性を考慮した上で2遺伝子間相互作用をすべての遺伝子の組み合わせから高速に検出する方法の開発を行った。26年度は3遺伝子間相互作用への拡張を行ったが、予想していたよりも高速化の効果が小さく、実用的なアルゴリズムにしていくためにまだ改良すべき点があることが課題となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度に計画していた解析プログラムの作成に関しては、計画通り作成することができた。FDRを評価するプログラムに関しては、計算時間がかかりすぎるという問題があり、改良の余地があると考えられた。そのため26年度も継続して評価法の改良を進めたが、計算時間の問題が解決したとはいえず、課題として残されている。 マイクロアレイによる遺伝子発現データ解析において、2遺伝子間相互作用をすべての遺伝子の組み合わせから検出する方法の開発を行った。3遺伝子間相互作用に拡張を試みたが、高速化の効果が小さくアルゴリズムの改良が課題として残った。スーパーコンピュータの予算を計上していたが、まだ利用には至っておらず次年度への繰り越しが発生してしまったため、やや遅れているという評価となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
網羅的ゲノムワイドSNP情報に基づくエピスタシス効果の探索アルゴリズムの改良に関しては計画通り3遺伝子の遺伝子間相互作用の解析への拡張を行う。計算時間が予想以上にかかる場合にはスーパーコンピュータを活用する。FDRを評価するプログラムに関しては、27年度も継続して評価法の改良を進める。 マイクロアレイによる遺伝子発現データ解析においても計算速度の面でやや問題があるため継続して開発を行い、高速化の目処がたったところでGUIを含むソフトウェアの作成を進める。研究成果に関しては来年1月に行われる予定の国際シンポジウムで発表する予定である。
|
Causes of Carryover |
計算の高速化が思うように進まず、ソフトウェア開発やスーパーコンピュータの使用を予定していたがそこまで至らなかった。そのため謝金やスーパーコンピュータ使用料が次年度に持ち越しとなってしまった。またスーパーコンピュータへのプログラムの対応も十分でなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
持ち越したスーパーコンピュータ使用料は27年度に使用する。また、研究室においても現在より高速に計算するためにワークステーションの購入を計画している。26年度に使用できなかったソフトウェア開発のための謝金は27年度に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)