2013 Fiscal Year Research-status Report
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25330078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
紙名 哲生 東京大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (90431882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プログラミング言語 / プログラミングパラダイム / 方法論 / モジュラリティ |
Research Abstract |
文脈指向プログラミング(COP)言語ServalCJ(論文発表時の呼び名はJavanese)のプロトタイプを実現した。これは、既存のCOP言語で提案されてきた様々な層活性の機構を一般化し、シンプルな言語機構としてまとめ上げた新しいCOP言語である。これまでのCOPの研究は特定の事例に対してその問題解決を与えるものであった。例えば環境の変化などの外部的な要因で発生する文脈の変化と、プログラム実行の制御フロー中などの内部的な文脈の変化は、これまで別々の言語機構・プログラミング言語で書かなければならなかった。特に、単に複数の言語機構を一つの言語に混ぜ合わせるだけでは両者の意味論間において矛盾が発生するという問題がある。ServalCJではその矛盾を回避する新たな意味論が実現され、それにより既存の様々な層活性の機構をシンプルな言語機構として統合した。 また、COP言語の応用として、文脈指向ソフトウェア開発方法論COSEを構築した。COP言語では層をモジュールの単位として扱うが、実際のソフトウェア開発において、いつ、既存のオブジェクト指向言語のモジュール機構のかわりに層を使うべきかは明らかになっていない。また、要求獲得時において、ソフトウェアの振る舞いを動的に変更させる様々な要因の中から、どれを文脈として抽出すべきかについても明らかでない。COSEはこれらの問題に対して、体系的に文脈や層の識別を行う方法を示したガイドラインであり、小さな例題を通してその有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ServalCJ言語はCOP言語の様々な層活性機構を統一的に理解できる枠組みを提供しており、当初の計画どおりである。また、簡単な例題を通してCOSEの有効性を確認したことは、次年度の研究への重要なインプットとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
ServalCJ言語の実用的なコンパイラを作成し、パフォーマンス評価を行って当該年度で得られたアイデアの実現可能性を示すとともに、意味論の形式化を行い、アイデアの理解を深める。さらに、層活性機構だけでなく、層の静的な構造に関するバリエーションに関しても、当該年度で得られた成果を元に統合する方法について検討する。 同時並行的に、当該年度で得られたソフトウェア開発方法論を、より複雑な複数のケーススタディに適用し、アイデアの洗練化とさらなる有効性の検証を行う。それに基づいて、文脈指向ソフトウェア開発方法論に関する、要求定義からプログラミングに至るソフトウェア開発工程の各段階における研究ロードマップを細分化し、COPの応用に関する今後の研究への布石とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果を発表する予定だった国際会議(例年3月に開催)が、当該年度に限り、翌年度の4月に開催されることになり、その分の旅費が当該年度に執行できなかった。 4月に開催される、上記国際会議参加のための旅費として使用する。
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