2013 Fiscal Year Research-status Report
計算統計による実践的ソフトウェア信頼性評価システムとその開発管理への応用
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25330081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 真二 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60432605)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソフトウェア信頼性 / ソフトウェア信頼性モデル / 計算統計 / ノンパラメトリックブートストラップ法 / ブートストラップ信頼区間 / 離散化ソフトウェア信頼性モデル |
Research Abstract |
平成25年度は,本研究の基礎的な部分として,計算統計学の中でもブートストラップ法と呼ばれるリサンプリング手法を適用しながら,以下に示すソフトウェア信頼性データ発生シミュレータの開発と各種推定量に関する統計的推測のためのブートストラップ信頼区間について議論した. 具体的には,ソフトウェア開発のテスト工程において収集されるソフトウェアフォールト数データからブートストラップ法と呼ばれる手法の従って疑似データを生成する「ソフトウェア信頼性データ発生シミュレータ」を開発すると共に,ソフトウェア信頼性データ発生シミュレータによって形成される各種推定量の確率分布(ブートストラップ分布)に基づきながら,モデルに含まれるパラメータや信頼性評価尺度に対する区間推定などそれらの統計的推測に関する議論を行った.特に,ブートストラップ法に基づいた区間推定は,シミュレーションで得られた経験的な確率分布に基づいて行うため,ブートストラップ分布の非対称性やバイアスを考慮した信頼区間の構成が必要となる.したがって,ここでは,ブートストラップ法独自の信頼区間構成手法であるブートストラップ-t信頼区間やBCa信頼区間を適用しながら,パラメータや信頼性評価尺度の不確実性を考慮したソフトウェア信頼性解析結果が得られる手法を開発し,それらをシミュレータへ実装した.また,ある特定のモデルに対して,上述した信頼性解析手順も示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の当初目的と照らし合わせ,現在の達成状況は順調に進展しているものと判断している.特に,ブートストラップ法に基づいたソフトウェア信頼性評価の統計的推測を行う上で基礎的な位置を占めるシミュレータの開発をある適度完了したことは今年度の達成度に大きく影響を与えており,このシミュレータを活用しながら次年度も当初の計画通り研究を進めていく.また,研究成果の公表についても,適宜,適切な学会,国際会議,または学術雑誌等で積極的に公表できたものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
ブートストラップ法に基づいたデータ発生シミュレータと信頼性評価手法を,ソフトウェアの最適リリース問題などのソフトウェア開発管理手法へ応用して,平成25年度に開発したシミュレータを拡張する. 特に,ソフトウェアの最適リリース問題では,開発と運用段階におけるライフサイクルコストがソフトウェア故障発生数に依存した関数であるとして,そのコストが最小となる時刻を最適リリース時刻として推定するため,信頼度成長モデルが適用でき,平成25年度に議論したデータ発生シミュレータと信頼性評価手法の拡張を行うことで,最適リリース時刻の不確実性を考慮した推定が可能と考える.つまり,信頼性評価の場合と同様に,最適なリリース時刻やコストに関するブートストラップ標本が得られ,それらの確率分布も同時に得る事ができる.したがって,最適リリース時期や最小コストの区間推定が可能となり,信頼水準を計測リスクとして捉えると共に,信頼性評価尺度の中で把握できる信頼性達成状況を考慮することで,リスクに基づいた信頼性指向型の新たなソフトウェア開発管理手法が開発できる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していたカナダ/ウォータールー大学への調査研究が学内業務等で日程調整がつかず中止としたことが理由である.なお,調査研究自体については,先方の研究者が来日した際やインターネットを通じて必要最低限度の研究討議や資料収集が行えたため研究活動へは直接影響していない. 今年度に日程調整ができればカナダ/ウォータールー大学への調査研究を再度試みたい.不可能である場合は,海外での研究成果発表および国内での調査研究活動へ振り分け,上記の調査研究に近い成果が得られるような代替的活動を行う予定である.
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