2013 Fiscal Year Research-status Report
無線網性能向上のための実用的かつ高精度な電波干渉推定手法の開発
Project/Area Number |
25330103
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 義明 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教 (50532579)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 無線ネットワーク / 電波干渉モデル / プロトコルモデル / SINR / TDMA / タイムスロット / スループット |
Research Abstract |
無線ネットワークにおいては、近接する複数の無線リンクが同時に使用されると、無線信号が衝突し、各リンクで無線信号を正常に受信できなくなる電波干渉の問題がある。TDMA型無線メッシュネットワークでは、電波干渉が発生すると推定される無線リンクに異なる電波資源(タイムスロット)を割り当てることにより、電波干渉を回避する。これまで当該分野の理論研究では、リンク間の電波干渉が推定可能という前提のもと、グラフ理論を用いて、ネットワークの利用効率を最適化する電波資源割り当て法の研究が多く行われてきた。しかし、これらの理論研究で一般的に前提とされるプロトコル型電波干渉推定手法は電波干渉推定の精度が低いという問題がある。本研究課題では、無線メッシュネットワーク(リレーネットワーク)の利用効率を最適化する従来の理論研究を実用段階まで高めるために、従来手法(プロトコル型電波干渉推定手法)より高精度な電波干渉推定手法を開発することを目的とする。 本年度は、無線リレーネットワークを対象として、従来のプロトコル型電波干渉推定手法の電波干渉推定精度の評価を行った。その結果、プロトコル型電波干渉推定手法のパラメータを適切に調整することにより、電波干渉推定の精度が最大15%程度改善されることを示した。また、適応変調符号化技術を用いるリレーネットワークにおいては、プロトコル型電波干渉推定手法のような簡単な電波干渉推定手法を用いる場合であっても、複雑な電波干渉推定方式を用いる場合と同程度のネットワーク性能を得られることが分かった。そのため、今後は、タイムスロット数が直接ネットワーク性能となるようなリレーネットワークを対象として、検討を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、従来の電波干渉推定手法であるプロトコル型電波干渉推定手法とその他の電波干渉推定手法の比較評価を行った。このことにより従来手法の特性を明らかにした。当初は、これらの成果を用いて、リレーネットワーク性能向上のための新しい電波干渉推定手法の基礎検討を行うところまでを予定していたが、まだ検討の途中段階にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた従来手法の基礎評価結果を元に、引き続き、プロトコル型電波干渉推定手法のように、電波干渉を二値的に推定する(電波干渉の有無のみを推定する)、高精度な電波干渉推定手法を開発する。開発した二値型電波干渉推定手法は、これまでに開発したシミュレーションプログラムを用いて評価する。また、これらにより得られた成果は、適宜、国内研究会、国際会議、および国際論文誌に投稿し、積極的に成果を発表していくことを予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、当該分野の学会が良く開催される米国における学会発表を想定していたが、アジア圏開催の学会において研究発表を行ったため、旅費を節約できた。また、シミュレーション等を行うコンピュータとして、他予算で購入した機器を用いることができたため、コンピュータ用の費用を節約できた。 提案手法のシミュレーション評価およびテストベッドによる実験評価のために、コンピュータ関連消耗品および実験消耗品に研究費を使用する。また、得られた成果を国内研究会、国際会議、および国際論文誌に投稿し、積極的に成果を発表していく必要があり、それらに伴う旅費、学会参加費、英文校正費に研究費を使用する。さらに、当該分野は研究の進展の早い分野であり、常に最新の動向を把握しておく必要がある。情報収集のための学術集会参加に伴う旅費、参加費に研究費を使用する。
|
Research Products
(6 results)