2014 Fiscal Year Research-status Report
コグニティブ無線ネットワークに適した2階層型共通制御チャネル確立維持手法
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25330107
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
塚本 和也 九州工業大学, 情報工学研究院, 准教授 (20452823)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コグニティブ無線 / 自律制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多様なマルチホップ通信をコグニティブ無線ネットワークで効率的に提供するために,隣接ノード,及び利用可能な周波数(ホワイトスペース)等の制御情報の共有が必要な点に着目し,通信特性の異なる周波数から(1)隣接ノード把握用の制御チャネルと(2)通信ノード群内のホワイトスペース情報共有のための制御チャネルを自律的に確立,維持する手法を提案する. 本年度はまず,昨年度提案した,①空間的に近接する車両間で位置情報を定期的に交換するための共通制御チャネルである「エリア共通チャネル」と②実際に通信を行うノード群内での共通の制御チャネルである「ノード群共通チャネル」を用いる2階層型共通制御チャネルに関して,スケーラビリティ評価を行った.評価結果から,2階層型共通制御チャネルを用いることで,「エリア共通チャネル」を用いることで空間的に近接する車両を効率よく検知した上で,「ノード群共通チャネル」を用いることでPU通信に遭遇するチャネルをうまく避けつつデータチャネルを選択する事が可能となる.その結果,良好なアプリケーション通信性能を提供できることを示した.これらの評価結果を国内研究会において対外発表した.今後は,海外の論文誌に研究成果を公表する予定である. 加えて,この共通制御チャネルで交換する利用可能な周波数情報,および位置情報を元に動作可能なコグニティブ無線技術に適した新しいトランスポートプロトコルを提案し,研究成果をまとめた上で国際的な論文誌,IEEE Transactions. on Mobile Computingにて対外的に発表した.また,最後に2階層型共通制御チャネルの基礎部分をGNURadio/USRPを用いて限定的に実装し,実環境で制御チャネル確立時間やチャネル切替時間,スループットやジッタなどの結果をまとめて、論文誌Springer MONETにて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた全項目に関して,予定以上に研究が進捗している.具体的には,まず,昨年度考案した2階層型共通チャネル制御手法に関して,シミュレーション実験によってスケーラビリティ評価を行った.その結果,台数が増加する環境において更に提案手法の有効性が更に顕在化することを確認した.加えて,その2階層型共通制御チャネル選択手法の基礎部分に関して抜き出した上で,GNURadio/USRPを用いて実装した上で,実環境において実験を行い,提案手法の有効性を実環境において評価できた.これらの結果から,平成26年度に予定していたシミュレーションによるスケーラビリティ評価と実装を用いた実装実現性の検証,の双方の目標を達成できたと考える. 更にこれに加えて,これらの2階層型共通制御チャネルを用いて取得した情報を用いて動作可能な新たなトランスポートプロトコルについても考案した上で,その有効性をシミュレーション実験によって検証した.これらの結果からコグニティブ無線技術を用いたマルチホップ通信環境において良好なエンドツーエンド通信性能を提供できることを明らかにした.以上に示す通り,当初の予定以上に研究が進捗していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は平成26年度に国内研究会で発表した2階層型共通制御チャネルのスケーラビリティ評価を更に整理した上で,更に汎用性ある評価にするために必要な追加結果を取得し,その成果を国際会議や国際的に権威ある論文誌にて対外発表することを目指す.これによって,学術的なプレゼンスを高める事を最終的な目標とする. 更に,本研究課題で前提するセンシングによる利用可能周波数の把握技術だけでなく,世界的に法整備,開発が進んでいることで主流となりつつある「位置ベースのデータベースを用いた利用可能周波数の把握技術」と連携する手法について新たに考案する予定である.これらの2つの技術は「把握可能な空間範囲」と「正確性/信頼性」に関してトレードオフの関係にあるため,その特性を活かした上で適切に連携することで更なる相乗効果が期待できる.今後は,この連携手法について考案する予定である.
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Causes of Carryover |
年度末に出張した旅費の微調整の結果、見積もり額よりも支出額が740円安くなったため、この差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の旅費の一部として、差額の740円を利用することを計画している。
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Research Products
(8 results)