2013 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォンプローブによるテレマティクスサービス時代に向けたデータ量削減技術
Project/Area Number |
25330119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
清原 良三 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (70646637)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ITS / テレマティクス / データ圧縮 / モバイルコンピューティング |
Research Abstract |
本研究は自動車の位置や速度などの情報をセンサデータとしてサーバに集め、渋滞などの情報を配信するテレマティクスサービスに関し、データを収集するための携帯電話網への負荷を考慮したデータの圧縮方式の開発が目的である。 実車を利用して、加速度やマップマッチングなど処理を行う前の位置情報を収集し、実際の車の挙動を観察した。次にマルチエージェント型の交通シミュレータを利用して観察した結果を適用し実車に近い形での交通シミュレータの基本動作を実現した。 この交通シミュレータを利用し、交通量の多い場合や、少ない場合を含めて様々なケースにおいて位置情報の変化、速度の変化といった情報をモデル化し、このモデルを利用して、一定の送信単位ごとに最大となる差分を明確にした上での適切な圧縮方式を提案し、シミュレータ上で評価し、効果があることを示した。具体的には確率的に多くおこるようなケースにおいて圧縮効果があり、また車両数が多い場合も圧縮効果のある可変長可逆圧縮方式を提案し、その有効性を示した。 次に、すべての車両が通信するのではなく、一部の車両が時間的、空間的な間引きによって通信する手法として、時空間モデルに基づいたデータ量削減方式を検討し、空間的には車群とし、時間的にはサーバ側での推測可能で、欠損データを一定の誤差範囲で復元できるかどうかといった観点からデータの送受信を決定する方式を提案した。 しかし、一部のケースにおいてビットの有効利用ができてないケースが存在することがわかったため、改良の必要性もわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標は、交通流シミュレータ上でミクロシミュレーションを行い、車両の情報の特性を示したデータを取得し、データ量削減方式の検討を行うことにあった。まず利用するシミュレータを個々の車両のデータを取得する必要があることからマルチエージェント型のシミュレータとして選定を行い導入した。その上で、シミュレータを実際の車両の動作に近い状態にする必要性があることから、実車でのデータを車載ネットワークからデータを取得することと、スマートフォンからもデータを取得することにより動作モデルを確認した。 単純な動作に限られるものの、この動作をマルチエージェント型のシミュレータ上に実装することにより必要な環境が構築できた。このため、研究としては順調に進めることができたと考える。 さらに、データ圧縮方式としては可変長での圧縮方式を検討した。これは携帯電話網のピーク通信量をカットすることを目標にした場合、車両の少ないケースではデータ圧縮しなくても良いぐらいで、渋滞などで車両が多い場合にのみ必要であるからである。このような点に着目することにより可逆で、可変長のデータフォーマットが提案でき、シミュレータ上で評価できたため、順調と考える。 一方、データの圧縮ではなく、送信データそのものの削減に関しても検討までは行うことを目標にしていた。この課題に対しては、時空間モデルを定義、サーバ側での推測が可能か不可能かという点に着目してデータを削減可能であることを示すことができた。以上の点から順調に進めていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに多くの実車両データを取得し、交通シミュレータ上で実環境に近い状態の再現を進める予定である。その上で、提案方式の有用性を確認する。また前年度までに検討した送信データの削減方式に関してシミュレーション上で時間的な面、空間的な面とも評価を進める予定である。 次に、シミュレータ上での動作する車両だけではなく、バイクなども対象に検討し、交通の流れを阻害するような車両なども導入し、実動作環境に近い状態を作り、さらに評価を進める予定である。 また、実車両では実験できないものの、現実には存在するような危険運転や、速度超過などのケースに関しては、ドライビングシミュレータを利用して実際の加速や速度などを取得し、これを利用して交通シミュレータに反映し、より現実に近づけて検証をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定どおりであり、誤差の範囲内である。 翌年度分と合わせたとしても誤差範囲であり、有効に利用する予定である。
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Research Products
(4 results)