2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330122
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
塚本 勝俊 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (10207342)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | モバイル通信 / 無線アクセスネットワーク / Radio on Fiber / バックフォールネットワーク / エントランスネットワーク / エージェント / 効用関数 / ワイヤレスクラウド |
Research Abstract |
本研究ではヘテロジニアス無線を一体として提供するクラウドHRAN技術の実現のため、RoFまたはDigital RoFを用いたハイブリッドRAN技術、ならびにユーザセントリックワイヤレスエージェント技術の実現を目的としている。 (1)無線LANとBluetoothをRoF伝送する机上実験系を構築し、微弱送信電力によりBluetoothエリアを小セル化した伝送実験を行い、相互干渉をスループットの観点から評価した結果、無線LANのスループットの改善が確認され、相互干渉の抑圧にRoFが有効であることが分かった。引き続きZigBeeなどの異種無線センサー装置を追加してRoFを共通基盤とした構内系ヘテロジニアス無線ネットワークの実験的検討を行っている。また、今後の各種無線エリアの小セル基地局への汎用エントランスリンクをヘテロジニアス電波空間のIP伝送で実現するため、電波空間をそのままAD/DA変換する装置を用いて机上実験系ならびに電波空間の伝送品質を評価する計算機シミュレータの構築を行った。 (2)モバイルトラヒックの爆発的増加に対してヘテロジニアス無線アクセス間のトラヒック分散化は重要な課題である。異種無線アクセス間でトラヒックオフロードする際にホットスポットへのユーザの移動が必要な場合、ユーザのサービス満足度が高まる移動先の選択が重要である。H25年度はユーザセントリックにトラヒックオフロードを促すワイヤレスエージェントとしてモバイルリソースガイドエージェントの検討を行った。動画配信遅延時間と移動距離を評価基準としたアンケートを実施し、移動先での満足度を示すユーザ効用関数を階層化意思決定手法(AHP)により導出した。現在、このユーザ効用関数に基づき最大ユーザ効用が得られる無線スポットへの誘導アプリケーションソフトの開発を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)無線LAN信号とBluetooth信号のRoF伝送実験で行ったスループット測定から相互干渉を評価することができ、計画に対して概ね順調に進展している。また、ヘテロジニアス無線が汎用的に利用する電波空間のイーサネット伝送技術は、AD/DA変換装置を用いて基礎実験のための机上実験系を構築した段階である。本装置を制御し、電波空間をディジタル化しストレージする、ストレージしたデータから電波を再生する制御ソフトウェア開発は概ね完了しており、計画に対して概ね順調に進展しているが、再生電波の品質を技術基準に適合させるための改良が次年度以降の課題となる。また、ディジタル化した電波空間のイーサフレーム化、IP伝送については導入装置のハードウェアの課題が判明したため、その対応策も含め今後の検討が必要であり、計画に対してやや遅れている。 (2)トラヒックオフロードのための異種無線スポットへユーザを誘導するモバイルリソースガイドエージェントについて、ユーザの移動先スポットの選択規範となるユーザ効用関数をAHPを用いて導出できた。それを用いたエージェントアプリケーション開発は着手したところであるが、当初計画に対して概ね順調に進展している なお、いずれの研究成果についても初年度は実験系の構築が中心であったり、シミュレーションパラメータのスケラビリティが少なく、またAHPに用いたアンケート母数に不足があり、評価データの信頼性を高める必要があって学会などでの成果発表は次年度以降に行いたいと考えている。なお、ヘテロジニアス無線を一体として提供するクラウドHRAN技術の概念については、他組織の研究者と議論しており、その考え方を国際会議の共著の招待論文の中に反映した。 以上より研究全体で総合すると当初計画に対して概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に得られた結果を基にして電波空間をそのままAD/DA変換する装置を用いて、電波空間のイーサネット伝送の基礎実証実験を行う。そして、量子化や電波空間のディジタル伝送が無線信号のSN比やひずみ特性、スプリアス特性へ与える影響の評価、また伝送されるサービス信号の遅延特性などの測定を行い、その改善方法を提案する。またIPルーティングを用いた電波の転送先切り替え手法について検討を行い、シミュレーションと実験で上記観点で評価を行う。これらによって、不要な電波を送出しないという電波エコロジに優れ周波数利用効率を高めるHRANの基本構成方式を提案することができる ワイヤレスエージェントについては、H25年度に得られた基礎的なユーザ効用関数に基づき、ユーザ効用が現状の場所よりも改善される無線アクセススポットへユーザを誘導するアプリケーションソフトの開発を実施する。移動という負担の中では、スポット移動に対するユーザのインセンティブを高める必要があり、ポイント付加等もユーザ満足度の決定要因に追加し、効用関数の改良を実施する予定である。 さらに、個々のユーザの周囲に様々な電波形式で生成されるプライベート電波空間が、そのユーザの状況や満足度に応じて透明なHRANを通じてそのまま相互接続される周波数資源エージェントの検討に取り組む。これにはユーザ満足度を決定する通信品質パラメータなどの要因パラメータ数を増やした効用関数の拡張が必要であり、また、これをエージェントの制御規範に用いる手法を提案していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
為替相場の変動によるAD/DA変換装置などの海外製品の購入額の減少、交付申請時における物品の購入見積額からの減少、旅費の計画からの減少により約25,000円の残額が生じる見込みとなったが、次年度以降の消耗品購入、旅費に充当することが適切を判断したため、次年度使用額が生じた。 次年度以降の消耗品購入、旅費に使用する。
|
Research Products
(1 results)