2013 Fiscal Year Research-status Report
3次元ディスプレイに向けた任意曲面物体からのホログラム生成アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
25330125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
下馬場 朋禄 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20360563)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホログラフィ / ホログラム / 計算機合成ホログラム / 3次元ディスプレイ / CGH / コンピュータホログラフィ |
Research Abstract |
ホログラフィを応用した3 次元ディスプレイは人間の立体知覚を完全に満たすことができる唯一の方式であり究極の3 次元ディスプレイと言われている.ホログラムの計算時間が膨大なためリアルタイム生成が困難であり実用化への妨げとなっている.3次元物体は任意曲面を持つため,本来は任意曲面から回折計算を直接実行することでホログラムを生成することが望ましいが,このような回折計算を高速に実行できる手法は知られていない.本研究課題は任意曲面から高速にホログラム計算ができる手法を開発し3次元像をリアルタイム再生することを目的とする. 本年度は任意曲面からのホログラム計算を行うために,波面記録法による方法を検討した.波面記録法は3次元物体とホログラムの間に仮想面を設ける.波面記録法では,まずはじめに仮想面上に3次元物体の情報を記録する.仮想面を3次元物体の曲面近傍に配置すれば,この計算量を削減できる.次に仮想面からホログラムまで光波伝搬計算を行う.従来の波面記録法はホログラムに平行に仮想面を配置していたが,本年度は仮想面を傾けて配置することで計算量の削減を図った.また,生成したホログラムのカラー再生を行うため,時分割法によるカラー再生システムの構築をを行った.また,カラーのホログラム計算を高速化するアルゴリズムの開発も行った.カラーのホログラム計算は従来はRGB色空間上で行われていたが,このアルゴリズムはYCbCr色空間上でホログラムの計算を行う.YCbCr色空間の特性としてCbCr成分をダウンサンプリングしても画質が劣化しないため,ホログラム計算の計算量削減ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は波面記録法に基づく任意曲面のホログラム計算について検討を行った.従来の波面記録法は仮想面をホログラムと平行に配置していたため,計算量の削減に限界があった.本年度は計算量が最小になるように仮想面を傾けて配置できるようにした.この際,仮想面の配置決定にRANSAC(RANdom SAmple Consensus)アルゴリズムを採用した.波面記録法による任意曲面計算は一定の進展があった.一方,当初計画していた任意曲面からダイレクトにホログラムを計算する手法については,申請者が以前に提案している不等間隔フーリエ変換による方法を拡張することを考えてており,次年度以降に検証を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
任意曲面の回折計算を実現する方法はいくつか考えられる.最も単純な方法は,任意曲面を点光源の集合として扱い,その点光源からの光波を直接ホログラム上で足し合わせう方法である.ただし,この方法は計算量が膨大なものとなる.平成25年度に申請者は波面記録法を用いた任意曲面計算について検討を行った.次年度以降はこの方法を更に高速化させるために,GPU(Graphics Processing Unit)への実装と波面記録法の第2ステップ(仮想面~ホログラム)の光波伝搬計算に申請者が開発している帯域制限ダブルステップフレネル回折を適用することを予定している. 任意曲面の回折計算を実現するもう一つの方法として,直接,任意曲面からホログラムへの光波伝搬計算を行うことが考えられる.ホログラフィの分野ではフレネル回折や角スペクトル法などの高速フーリエ変換で実装された光波伝搬計算が使われるが,これらは平面間の伝搬計算であり,任意曲面での計算手法はあまり研究が進んでいない.申請者は次年度以降に,不等間隔フーリエ変換を用いた方法を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた予算計画と大幅に変更になったため,残額が生じた.特に旅費は当初の計画よりも大幅に少なかった. 残額は次年度の物品費に組み込み使用予定である.
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