2014 Fiscal Year Research-status Report
脳における外因性事象関連電位と血行動態の賦活領域側性指数による個人認証
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25330163
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
鶴 浩二 大分工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (70390549)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳波 / 個人認証 / バイオメトリクス / ブレインコンピュータインタフェイス / SSVEP / 側性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,体性感覚,視覚や聴覚によって発生する脳波電位や血流動態変化の賦活領域特性の個人差を明らかにし,人による脳の活性化領域の位置的偏り(側性)から個人認証を行う技術を開発し,認証精度向上の可能性を探ることを目的とし,さらに脳の側性測定・解析の知見により,リハビリテーション機器や人工義肢の制御において発生するパーソナルパラメータを明らかにし,再現性と認識率の改善に貢献することである. 平成26年度の研究の主な研究成果を示す. 【1】身体障碍者用のインターフェイスとして,SSVEPに注目し,スマートグラスを用いて,実生活で脳波によって,動作の識別ができるシステムを構築し,安静時や,歩行時,会話時でのブレインコンピュータインターフェイス(BCI)の実用性を検討した.パターン提示領域が最大の時の判別率は0.93,最小の時は0.68となり,提示領域の影響は大きいことが分かった.5人の被験者による実験の平均判別率はそれぞれ安静時0.84,会話時0.73,歩行時0.56であり,これらのことからスマートグラスを用いたBCIは,実生活でも利用できることを明らかにした. 【2】携帯型脳波測定装置(Emotiv)を用いて,閉眼安静時の脳波を測定して,20人による個人認証の実験を行った.その結果, SVMによる認証で0.52という結果を得た.昨年度の5人における認証率0.76よりも低くなった.これは,脳波全体での特徴を出したためだと考えられるので,電極毎に認証率を出すことで,個人の特徴が出やすい電極を用いた脳波の側性を考慮すれば,改善できると考えた. 【3】側性をより理解するために,集中力など脳活動時の血流量に注目した光トポグラフィ装置を用いた実験にも取り組んだ.集中時に,酸素化ヘモグロビン濃度変化も上昇している場合もあり,脳賦活領域の計測できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,近赤外光を用いた光トポグラフィ装置による賦活領域の測定を開始した.集中時の血流変化を観測して,個人による賦活領域の違いを明らかにするところまでは,実現していない.個人認証の実験では,携帯型脳波測定装置を用い,多人数による認証率を測定したが,予想より低い値だった.また,リハビリテーション機器や人工義肢の脳波制御の実用化を踏まえて,スマートグラスを用いた SSVEPによるブレインコンピュータインターフェイスの研究を行い,パターン領域や利用状況の違いによる判別率を明らかにした.脳波の側性の可視化ソフトウェア開発が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
脳波を電気的測定と光学的測定を通して,脳全周部における賦活状態を計測して,プログラムにより可視化し,脳賦活領域の側性を同定し,個人認証技術の精度向上につなげる.また,感覚受容部を制限し,視覚刺激においては片眼だけ視覚を入力し,視覚入力を周期的に遮蔽する装置を用い,脳波の側性を顕在化する実験も行う.さらに,利用しやすいブレインコンピュータインターフェイスを目指して,より現実の利用に即した脳波機器制御の方法を検討する.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,平成26年度に光トポグラフィ装置を新規に購入して実験を行う予定であったが,平成25年度に所属する教育機関が購入した実験研究用機器のなかにある光トポグラフィ装置を使うことができたため,その分の物品費として,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究開始時から,脳波測定用電極の設置に時間と手間がかかることが問題となっていた.光トポグラフィ装置による光学的測定は,1つの解決手段であるが,それ以外にも近年脳波用電極として注目されているドライ電極というものがある.これは,導電性ジェルなどを使わずに,金属電極を押し当てることで接触をとり脳波を測定する電極である.本研究計画の目的である脳波電位の賦活分布による個人認証での研究を押し広げるために,脳波測定用電極の設置にかかる時間と手間を削減できるドライ電極を用いた実験を行う予定である.
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