2016 Fiscal Year Annual Research Report
Brain dynamics during optical illusions associated with serious traffic accidents.
Project/Area Number |
25330171
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
柏原 考爾 徳島大学, 大学院理工学研究部, 准教授 (40463202)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知科学 / 脳神経ダイナミクス / 安全 / ヒューマンファクターズ |
Outline of Annual Research Achievements |
運転中に生じる錯視は、重大な交通事故に繋がる危険性がある。高速道路の夜間運転では、車の位置関係の見誤りや一時停止中の故障車への衝突が危惧される。また、縦断勾配錯視(坂道勾配の見誤り)による加減速が、追突事故や渋滞を引き起こす可能性もある。この様な錯視では、運転者の経験・知識に基づく思い込みや注意レベルと関連する高次脳活動の影響が大きい。従って、運転者の高次脳活動に着目しながら、重大事故に繋がる錯視の原因を検討することが重要となる。
平成28年度は、運転者の認知心理特性(高次脳活動)を考慮し、錯視による事故を未然に防ぐユーザインタフェースの構築を重点的に進めた。特に、錯視に関するこれまでの認知心理実験(脳・眼球活動)とデータ解析の結果を元に、道路上の錯視ペイント(アナモルフォーズ)の種類や位置(死角や横断歩道付近等)による減速効果を検討するシミュレータを構築・改良した。このアナモルフォーズの効果は、初見の場合に最も効果が大きいことも明らかにした。また、実際に錯視ペイントを使用している道路の現状調査(徳島市内)を行った。その結果、長期間の使用によるペイントの劣化(剥がれ)が、アナモルフォーズによる減速効果を妨げる要因の一つとなっていることが示唆された。
さらに、高速道路のサグ部(坂道勾配の変化地点)やトンネルの入口付近等では、錯覚に起因して加減速の操作を誤ることで、大規模な渋滞や衝突を引き起こす可能性がある。従って、運転者の認知心理特性(疲労や焦燥感)を考慮し、衝突の危険性を回避するための戦略を検討できるユーザインタフェースも作成した。
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