2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山崎 由美子 慶應義塾大学, 先導研究センター, 特任教授 (20399447)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 般化 / 弁別 / 移調 / 実験心理学 / 概念 |
Research Abstract |
本研究はコモンマーモセットを用い、物理的特徴に基づいて対象を区別するという比較的単純な弁別行動から、複数の刺激の特徴間の関係を抽出し様々な場面に応用させるという関係概念が成立するか、そして成立するならばどのような視覚的処理を行うことにより達成されるのか、について検討することを目的としている。本年度は、この目的達成のために必要な装置や刺激の開発と、行動評価に必要な反応を確立させることを目指した。マーモセットは他の多くの実験動物と異なり、食餌制限が難しく、個別で実験を行うことが情動反応を引き起こしやすい。そのため、多くの個体を用いて準備実験を行うことで、マーモセット一般に非常に嗜好性の高い強化子を用い、多くの試行に少量ずつ提示できるような装置を開発した。さらに、実験個体以外に別のマーモセットを実験室内に置き、お互いが自由に観察できる条件を設け、情動反応を少なくし、安定した反応が得られる実験環境を作った。その上で、被験体を実験装置に馴化させ、繰り返し装置から強化子を提示し、これにも馴化させた。反応形成としてタッチパネルに近づく行動をすべて強化することから始め、最終的にタッチパネルが検出可能な十分な強さの接触反応を形成した。タッチパネルへの反応が安定した後、白色円をモニタに提示し、この円の提示範囲内の反応のみ強化した。さらに、この円がモニタ上のあらゆる位置に提示してもそれを追いかけて反応できるように訓練を行った。このような反応が安定した後、モニタ上に大きさの異なる正方形を一対提示し、どちらか一方への反応を強化するという刺激弁別訓練を行ったところ、すべての個体で急速に正答率が上昇することが認められた。従って、本年度は今後弁別行動から刺激般化、概念形成へと解析を進めていく上で最も基礎的な行動訓練の枠組みを整えることができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたように、本年度の目標である、実験装置や環境の開発と基盤となる行動形成訓練に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
行動訓練と認知課題のテストには相当の月日を要するため、マーモセットの健康管理には特に留意する。飼育管理についての知識は他の実験動物に比べそれほど一般化されていないため、マーモセットを用いて研究中の他研究室の知見や意見を活用したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、次年度の研究費と合わせて消耗品購入に充てる予定である。 物品費は実験を長期にわたり効率よく行うための消耗品の購入が中心となる。情報収集と成果発表を行うために、旅費によって国内・国外学会に参加する。
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