2015 Fiscal Year Annual Research Report
イルカに言葉を教える - イルカにおける命名と文の理解
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25330177
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
村山 司 東海大学, 海洋学部, 教授 (40328109)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シロイルカ / 動詞 / 模倣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度の成果に鑑み,動詞「持ってくる」の学習を行うことから始める予定であった.しかし,本年前半に被験体の飼育状況の都合で長期間を要する学習実験ができず,この内容の実験ができない状態が続いた.秋に再開することができたが,前年度の「持ってくる」という学習が完全に定着した状態ではないまま半年以上の空白期間があったため,再度,動詞「持ってくる」の検証を行うところから始めた. 実験方法は被験体にマスクまたはフィンを表す記号を見せた後に「持ってくる」を表す図形文字を呈示,被験体に離れた位置に呈示されているフィンまたはマスクのいずれかを持ってこさせることとした.しかし,やはり空白期間が長かったために開始当初は実験全体の意図の理解ができておらず,「持ってくる」こともできないまま不正解が続いた.このため学習段階を徐々に戻し,再度,学習させるところから行った.その結果,徐々に離れた位置でのフィンとマスクの識別には成功するようになった.しかし,「持ってくる」ことについてはあいまいな反応や混乱した動作なども見られ,まだ定着できていない. その一方で,言葉を教える上での重要な要素の一つである「模倣」について検証した.これは上述の「動詞」の実験と異なり,短期間で実験が可能なので,上記の動詞の実験ができない期間に行うことができた. 実験は,ヒトの言葉や種々の音を呈示し,それに対する模倣の特性を検証したが,ヒトの声の模倣については精度の向上が見られ,また,模倣に失敗した場合には被験体は何度もマネを繰り返して,リベンジを行うことが分かった. 以上のことから,今後は「動詞の定着」と「模倣音の意味の理解」を同時並行で進めていき,将来的には統合してことばの理解を図ることを考えている.
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