2014 Fiscal Year Research-status Report
電子精密機械技術に着目したカメラ性能評価システムの開発
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25330188
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
西 一樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00208125)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 画像情報処理 / カメラ評価 / 手ブレ / SN比 / MTF |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、すでに開発済みの手ブレ計測・補正評価システムの拡張として、カメラ筐体振動・レンズ収差・撮像素子のSN比についても計測・評価可能なシステムの構築を目指す。手ブレ計測・補正評価システムがすでに実用レベルに達しているので、それを拡張した新たな測定・評価項目についてもカメラメーカーにおいて実際に使ってもらうことを前提とした実用性の高い計測ツールの開発を目標としている。 本年度は、撮像素子のSN比と露光時間や撮影感度との関係について検証した。それらは手ブレの大きさとも関係しトータルで画質に影響を与えるからである。SN比の測定は、手ブレ測定と共通の動画テストチャートを用いることで行える。すなわちテストチャートの撮影画像において、点発光部分が信号成分、それ以外の背景画像がノイズ成分に対応することから、それぞれのパワー(画素値の二乗平均)を計算しその比がSN比に相当する。これにより、1つの撮影画像で手ブレ量とSN比が同時に測定できる。 上記に基づくSN比計算のためのプログラムを新たに作成した。まず基本特性としてISO感度を上げていくほどSN比が低下することを確認した。露光時間が1/25秒より早くなるとSN比が急激に低下し始めるが、遅くしてもSN比はあまり変化がないことが確認できた。露光時間を長く設定することはSN比の点から有利であり、手ブレ補正はそれを促すものであることをあらためて確認した。 次年度への準備としてMTF測定法についても検討を行った。格子パターンの高調波成分がボケ度合に鋭敏に反応することを確認した。これを利用し、撮像素子の傾きを高精度に測定する方法について検証実験を行った。 また当初の計画にはなかったが、スマートフォンカメラの高性能化にともない、手ブレ補正の定量評価へのニーズの高まりから、その効果をスマートフォン上にて評価可能なアプリを作成しその有効性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であったSN比評価では、露光時間とSN比の関係を示すことができたが、手ブレ補正量とSN比を2軸にとったマップの作成については明確な分布の偏りを示すことができなかった。しかしながら、次年度に予定していた課題を一部前倒しして実施できたこと、および当初の計画以外にもスマートフォンカメラ用の手ブレ補正評価アプリを作成できたことを踏まえてこの評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画通り、MTF測定法について引き続き検討する。特にカメラメーカー共通の課題である、撮像素子の傾き測定への足がかりが得られたので、次年度はこれについて集中的に検討を進める。
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Research Products
(2 results)