2014 Fiscal Year Research-status Report
高精細度画像が与える奥行き感の実験的解明とその応用
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25330196
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
矢野 澄男 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (30466239)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 奥行き知覚 / 奥行き感 / 運動視差 |
Outline of Annual Research Achievements |
平面画像での奥行き感をもたらす要因に関して,高精細度画像での空間周波数が奥行き知覚に及ぼす影響を明らかにし,引き続き,画像の動きに着目した場合に奥行き知覚にかかわる要因として運動視差をとりあげ,視対象を一般的な画像とした場合の撮像方法が奥行き感の知覚に与える影響の検討を進めた.これまでに,代表的と考えられる撮像方法,すなわち,撮像系を瞳孔間隔6.5cm平行運動させる場合で,単に平行運動させる場合と平行運動の中点の前方に注視点を設定した場合の奥行き知覚について検討を行ってきた. さらに,奥行き感がより強く得られた注視点を設定した撮像方法で得られた画像に関して,撮像系と観視者の位置,すなわち,位相差が生じた場合の知覚される奥行き感を評価した.位相差は,0,1/4,1/2 の場合である.奥行き知覚の実験結果は,0と1/2の位相差の場合は,ほぼ同程度であり,1/4の場合は,半分位の奥行き知覚となった.この結果は,まず,視対象が一般画像であることから,位相差による奥行き反転は生じない.また,奥行き知覚を推定する場合は,頭部運動が運動範囲の両端を想定し,その場合に相当する視標の位置から算出すればよいとうかがわれる結果得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,高精細度画像での空間周波数が奥行き感に及ぼす影響を明らかにし,さらに,運動視差を活用した奥行き感を効率的に与える撮像方法を示した.また,研究成果の一部については,国際会議の招待講演トピックスとなり,加えて,一部成果をまとめて論文として投稿し,採録となった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果,奥行き知覚に関する高精細度画像での空間周波数の影響,運動視差での撮像方法の効果等を基本にして,画像の空間周波数が奥行き感に与える影響を,これまでの主観的な評価方法から主に他覚的な評価方法に変更して,奥行き感の評価を試みる.まず,調節応答が測定可能な装置を開発する.次に,異なる空間周波数パターンを視距離を変えて観視し,調節応答の測定と主観的な奥行きを求める.さらに,帯域制限を施した高精細度画像に対して調節応答の測定,奥行き感の評価を行う.これらの結果から,高精細度な平面画像での調節応答と奥行き感のかかわりを明らかにする.
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Causes of Carryover |
本年度の研究は,昨年度の調達した部材,および,開発した機器を効率的使用することにより,一定目途の研究成果を上げることが見通せることがわかっため,来年度の調節測定装置開発のための部材費として残した.調節測定装置の開発に関しては,机上検討,ソフトウエアによるシミュレーションを進めたが,部材等(輸入品)の価格の上昇もあり,ある程度の余裕で開発に臨みたい.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に残余した予算,今年度の予算で当初通り,調節測定装置の開発を進め,高精細度画像に対する調節応答を測定し,合わせて,奥行き感にかかわる主観評価実験を行い,高精細度画像のもたらす奥行き感の要因解析を実施する
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