2015 Fiscal Year Annual Research Report
カテゴリ化アルゴリズムと隠れマルコフモデルによる音声言語獲得の機能的モデル
Project/Area Number |
25330201
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高良 富夫 琉球大学, 工学部, 教授 (70163326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊波 靖 沖縄工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60390564)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音声言語 / 獲得 / 模倣 / フォルマント / 音声合成 / 隠れマルコフモデル / 教師なし学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の言語獲得の計算論的モデルが提案されている。これらは、あいまい性のない物理世界のモデルと文字言語を対象にしたものである。しかし、多様であいまい性のある現実の物理的世界と言語とを対応づけるという言語の根本的な機能は、乳児期における音声言語の獲得の中で達成されていると考えられる。そこで、あいまいな世界において言語を獲得できる計算論的モデルの検討を行った。 音声言語の形式を音素・単語・文に分ける。乳児は、母国語の音声にさらされているだけで母国語の重要な音素を獲得すると言われている。従って、音声言語の獲得のモデルでは、まず基本音素としての原始的な母音を獲得する。これは、母親の言葉に特徴的なはっきりした音声の部分をクラスタ化することとしてモデル化した。次にいくつかの単語を獲得する。これは、隠れマルコフモデルのクラスタ化としてモデル化した。単語の獲得と並行して音節を獲得し、その結果として子音を獲得する。これは、母音の特徴パラメータだけで表現された単語の音の違いを手がかりとするようにモデル化した。これは母親とのやり取りという社会性のモデルでもある。乳児は、なん語を発声し、自ら発声訓練して音声を聞き分けやすくしていると考えられる。そこで音素を構成する調音パラメータを主成分分析により構成した。得られたパラメータはフォルマント周波数に対応するものであった。これにより合成した音声の聴取実験の結果、ケプストラムによる音声より明瞭なものであることが明らかとなり、なん語の発声訓練モデルに使用可能であることが明らかになった。 以上のように、カテゴリ化アルゴリズムと隠れマルコフモデルを用いるとヒトの音声言語獲得のモデルが一定のレベルで構成できることが示された。このことは、実用的に作られた音声認識のアルゴリズムが、ヒトの言語獲得の機能的モデルの構成要素として有効であるという新たな視点を与えている。
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Research Products
(3 results)