2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
八島 由幸 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (60550689)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 画像符号化 / 超高圧縮符号化 / テクスチャ合成 |
Research Abstract |
本研究は,「送り側の映像を正確に再現する必要はなくその意図が伝わればよい」という新しい発想に基づき,テクスチャ合成・画像検索などを画像符号化に適用する新しいアルゴリズムを検討し,H.264/AVC,JPEGなど従来手法の5~10倍の超高圧縮映像符号化を達成することが目的である. H25年度の検討ではまず,顕著性に基づいたテクスチャ合成とポアソンブレンディングを用いた新しいコンセプトの圧縮フレームワークを提案した.エンコーダでは,領域分割によりテクスチャ領域を検出し,検出された領域中の一部のパッチのみを符号化伝送する.デコーダでは,伝送されたパッチを復号するとともにテクスチャ合成手法を用いて領域拡大し,対応するテクスチャ領域に貼り付ける.エンコーダ側で符号化するパッチ領域の選択に関しては顕著性マップを利用する.また,デコーダでの貼り付けにはポアソンブレンディングを導入して自然な合成画像を生成する.シミュレーション実験では,従来のJPEGでは高圧縮化した場合に著しいブロック雑音が検知されるが,提案方式では高圧縮化しても比較的自然な画質が得られることがわかった.RD特性の観点からデータ収集を行ったところ,従来のJPEGと比較して最大で70~80%の符号量削減を達成しつつ.画質を維持できていることが主観評価実験によって明らかになった. 一方,上記方式ではデコーダ側のポアソン合成処理時間が膨大となる問題があった.このため,合成元および合成先の画像を一旦縮小してポアソン画像合成を行った後に拡大処理を行う,拡大の際には補間処理が必要であるが,バイキュービックなど通常の手法ではボケが発生する.そこで,縮小前画像の勾配情報を利用した非線形拡大を新たに提案し,合成画質の劣化を抑えつつ処理時間の高速化を図った.実験により,画像合成処理部分の処理時間を1/100程度まで削減することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画においては,(1)擬似表現符号化の基本的性能把握,(2)テクスチャ検索とポアソン画像合成による画像再構成手法の検討,(3)動的テクスチャに対する擬似表現符号化適用の検討,(4)擬似表現符号化ソフトウェアプログラム作成と性能評価,の4つのステップで進めている.H25年度の当初予定としてはこのうち(1)についての検討結果を明らかにするとしていた. 実際の検討では,(1)の基本性能把握および,当初計画を一部前倒しして(2)の一部まで実施することができた.(1)の内容は大きく分けると,(a)擬似表現符号化の基本的性能の把握,(b)擬似表現可能領域の自動分離,(c)Image Quilting合成と符号量削減効果検証,の3つになるが,このうち今回の検討で(a)と(c)が明らかにされた.(b)については基本的検討を進めて候補アルゴリズムをいくつか絞り込んでいるが,アルゴリズムを確立させるにはさらに多くの画像データに対してデータを収集し統計的に結論付ける必要があることからH26年度でも引き続き取り組んでいくこととする. 一方,H26年度に取り組むべき計画(2)の一部を前倒ししてポアソン画像合成の高速化アルゴリズムを先行して確立できた.高速化アルゴリズム自身は一つの研究成果であるが,それと同時に,この成果は本研究課題を効率的に推進するための重要なツールとして利用することができる.具体的には,(1)の(c)の方式確立のためには数多くのテスト画像を処理しなければならないため処理時間がかかることが予想されるが,初年度でポアソン合成の高速アルゴリズムを確立できシミュレーション実験時間を短縮することができる.この意義は非常に大きい. 以上,全体としての研究進捗は当初の予定通りに進んでいる.なお,H25年度成果の一部はまだ対外発表を行っていないため,早急に投稿の準備に取り掛かりたい.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にのっとり,H26年度は項目(2)(3)の検討を進める.テクスチャ合成のためのパッチを符号化対象画像そのものから指定する手法と,Web上で類似画像検索して指定する手法を比較検討する.さらに,動画像への適用を検討するため,動テクスチャ合成技術や動画像に対するポアソン合成等の要素技術の検証も行う必要がある.これらの要素技術のいくつかは既に提案されているものも多く存在するので,本課題である高圧縮画像符号化にそれらが適用できるかどうかの見極めが重要となる.単体としての要素技術だけでなく,画像圧縮という大きな枠組みで考えた時に採用すべきアルゴリズム群の最適解を模索していく必要がある. 一方,Web画像データベースや動画像への適用を扱う場合には,シミュレーション実験に用いるテスト画像容量が膨大になり,それに伴って実験に要する処理時間の大幅な増加が予想される.この問題に対応するため,シミュレーションソフトウェア実現の際にもアルゴリズムの並列動作を勘案しつつ,複数台のPCを用いて効率的に動作するシミュレーション実験プログラムの実現を図る.また,実験用画像に関しても,ハイビジョンクラスまで拡張して,国際標準化で共通に用いられている動画像や,学会が発行している公式の評価用動画像に考案手法を適用することで提案アルゴリズムの汎用性を検証していく. また,成果の対外発表に関しては,H25年度に得られた成果の一部がまだ論文化されておらず,現在,学会研究会等への投稿準備を進めている.さらに,H26年度に得られる研究成果を合体させて,画像関係のフラッグシップ国際会議への投稿を目指す予定である.
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Research Products
(1 results)