2013 Fiscal Year Research-status Report
模倣音声による詐称攻撃に対して頑健な話者照合の研究
Project/Area Number |
25330206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岩野 公司 東京都市大学, メディア情報学部, 准教授 (90323823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 浩一 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10343097)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 話者照合 / 模倣音声 / 詐称攻撃 / 話者認識 / 個人認証 |
Research Abstract |
本研究では,音声による個人認証(話者照合)において,「模倣」という攻撃が話者照合システムに及ぼす影響の分析と評価を行い,このような詐称攻撃に対して頑健な話者照合手法の提案・検討を行うものである.そのため,模倣発声を含む研究用音声データベースの構築を行う. 平成25年度は,まず,男性6名,女性6名の2グループによる模倣発声を含んだ音声データの収録を実施した.被験者は模倣に対する特殊な技能を有さない一般の大学生である.発声内容はランダムで与えられた4桁連続数字であり,それぞれのグループに対して,約3週間にわたり継続的なデータ収録を行った.収録データの一部について,各発声者に対する「模倣のうまさ」のスコアを5名の被験者による7段階評価(1:全く似ていない~7:非常によく似ている)で付与した.スコアの分析を行ったところ,平均スコアは男性で1.81,女性で3.41となり,素人による模倣の難しさが読み取れた. 次に,各話者における通常発声と模倣発声のケプストラム特徴量(MFCC)を混合正規分布モデル(GMM)でモデル化し,モデル間のマハラノビス距離を算出することで,模倣行為による特徴量変動の分析を行った.その結果,「模倣の努力によって本人とは異なる声色を出そうとしているが,対象者には近づかない」傾向が読み取れた.しかし,1/3に相当する話者は,模倣による特徴量の変動距離が,本人と模倣対象者の距離の7割程度に達しており,それが話者照合性能に影響を及ぼす可能性が示唆された.平均対数基本周波数についても変動距離の分析を行ったところ,ケプストラム特徴量と同様の傾向となることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模倣音声を含む音声データベースの構築(音声データ収録・「模倣のうまさ」のスコアリング)について,当初の計画通りの規模で実施が完了した.特徴量変動に対する分析も当初の予定通りに実施され,模倣による音声の変動特性を物理的な距離変動として示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に音声データベースの拡充を予定しているが,平成25年度収録データの「模倣のうまさ」が,予想以上に低いスコアとなったため,今後は音声収録時に「模倣のうまさ」に対する報酬を被験者にフィードバックできるような仕組みを取り入れるなど,収録環境の改善が必要になるものと考えている.今後は,これまでに収録した音声データを利用して,模倣がどの程度実際の話者照合性能に影響を及ぼすかについて評価を行い,このような詐称攻撃に対する頑健な話者照合手法の提案につなげる予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画よりも,音声データの収録,確認,スコアリングに要する時間が短縮でき,人件費の支出を抑えることができたため.また,計画していた国際会議での研究調査(1回)を校務,ならびに家族の病気により実施できなかったため. 音声データベースの拡充時に,被験者に模倣のうまさをフィードバックするためのシステムが必要となったため,その構築のための機材費・人件費として利用する予定である.
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