2015 Fiscal Year Research-status Report
模倣音声による詐称攻撃に対して頑健な話者照合の研究
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25330206
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岩野 公司 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (90323823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 浩一 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10343097)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 話者照合 / 模倣音声 / 詐称攻撃 / 話者認識 / 個人認証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,音声による個人認証(話者照合)において,模倣による詐称攻撃が話者照合システムに及ぼす影響の分析と評価を行い,詐称攻撃に対して頑健な話者照合手法の検討を行うものである. 平成27年度は,プロの物真似タレント1名(男性)による声帯模写の発声の収録を実施し,その話者照合への攻撃力の分析を行った.プロに依頼した具体的なタスクは,平成25,26年度に収録した男子大学生6名の連続数字発声をその場で聴取して,各人の物真似を実施するものである.平成25年度に行った素人の物真似音声の分析と同じ手法に基づき,プロの模倣行為による音声特徴量の変動を通常発声(地声)と模倣発声のケプストラム特徴量のモデル間距離で分析したところ,その結果は素人の物真似音声の結果と類似したものとなり,「模倣によって本人の声から大きく特徴は動くが,対象者には中々近づかない」傾向となった.しかし一方で,GMM-UBM法に基づく話者照合システムに対し,プロの物真似による詐称攻撃を与えたときの照合性能の変化を調査したところ,素人の場合には2%程度の誤り率の上昇に留まったのに対し,プロの場合には8%近く誤り率が上昇することが確認され,模倣時のケプストラム特徴量の変動のみでは正確に詐称攻撃力を表現することができない可能性が明らかになった.物真似の対象者として複数の共通人物を設定し,素人とプロの模倣による攻撃力の比較を実施することで,プロの攻撃力の評価を行ったことは本研究の独自の成果といえる.今後はこれらの結果を受け,模倣時の音声特徴変動の分析手法の改善や,詐称攻撃への対処手法の検討を行う必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の家族の病気療養や業務多忙のため,平成27年度に計画したプロのタレントによる模倣音声の分析が遅れ,その成果発表や模倣攻撃に対する対処手法の検討・提案などに遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
模倣による音声特徴量の変動の分析手法については,今回,照合誤りとの関連性を正確に反映する結果とならなかったため,まずは分析手法の改善に取り組む必要がある.その結果を受け,模倣の際に特徴的となる音声特徴量の変化などについて調査を行い,模倣攻撃への対処手法の提案・検討につなげたい.
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Causes of Carryover |
研究代表者の家族の病気・入院,ならびに,業務多忙のため研究遂行に遅れが生じ,平成27年度の実施内容であるプロの物真似タレントによる模倣音声の分析が遅れ,その成果の発表が未着手の状況となっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の成果を含む研究発表を,国際会議,または,国際ワークショップで実施する予定であり,その旅費としての使用を計画している.
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Research Products
(1 results)