2014 Fiscal Year Research-status Report
不可視に構造化された光による実空間、実物体ベースの情報表現とその応用に関する研究
Project/Area Number |
25330208
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
上平 員丈 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (50339892)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報ハイディング / 光情報 / 不可視情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、情報を表現するように微小に輝度変調された光を空間や物体に投影し、その撮像画像に情報を不可視に埋め込む技術について、実験やコンピュータシミュレーションにより検討を進めている。平成26年度は以下の項目に取り組んだ。 1.時間的輝度変調による光の構造化 スマホなどの動画撮影機能を有する端末向けに時間輝度変調により構造化した光による情報の埋め込み法を提案した。この方法では、パタン部分の輝度をフレーム毎に目に知覚されない微小な振幅で増減し、撮像画像で奇数フレームと偶数フレームで符号を反転させながらフレーム画像を積算すると背景画像は除去でき、そして埋め込んだパタンのみ抽出可能となる。平成26年度は実験で3次元形状を含む被写体に対して原理確認を行った。 2.奥行き情報の埋め込み 通常の3次元画像は左右の目用に2枚の画像が必要であるが、2次元画像に奥行き情報を埋め込むことができれば、1枚の2次元画像から3次元画像の構成が可能となる。この実現法として、光源とカメラを奥行き方向に一定距離だけ離し、光源から周期パタンを投影する方法を検討した。上記の配置で光源から周期パタンを投影すると、撮影画像に写る周期パタンの空間周波数は奥行きに依存するので、この空間周波数を求めることで奥行情報を取得できる。光源としてプロジェクタを用いた実験を行い、上記方法の原理確認を行った。また、実験結果から、2次元の周期パタンを用いることで取得できる奥行情報の精度を高められることを確認した。しかし、投影された周期パタンと同じ周波数成分が被写体表面のテクスチャーに含まれている場合は十分な精度が得られないことがわかり、今後の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度までの主たる達成目標は、1)3次元形状の実物体に対して本提案技術の適用可能性を実証すること、および、2)3次元空間情報埋め込み技術の実現性を示すことであった。1)に対しては、時間的輝度変調による光の構造化によってほぼ達成できることを確認した。2)に対しては、周期パタンを投影して撮影画像に写る周期パタンの空間周波数が奥行きに依存させることで奥行情報を取得する方法を検討してその実現性を確認した。 以上から、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
時間的輝度変調による光の構造化について、詳細な検討を進め実用レベルをめざして技術の高度化を図る。特に実用上、解決が不可欠となるプロジェクタとカメラの非同期に起因する問題について解決法を確立する。 また、奥行情報の埋め込みについては、被写体表面のテクスチャーが有する高周波成分の影響を受けない方法について検討する。具体的には、投影パタンのコントラストを高くすることで精度の高い奥行情報を取得する。しかし、コントラストを高くすると、投影パタンの不可視性が低下するので、奥行情報取得後、フィルタ処理で投影パタンを撮像画像から除去し、奥行き情報は不可視性の高い別の形態に変換して撮像画像中に埋め込む方法を検討する。 また、情報の秘匿性を高める方法として、電子透かしで用いられている秘密鍵の概念を導入して、その有効性と実用性を検証する。 平成27年度は最終年度となるため成果の発表に努める。
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Causes of Carryover |
約43万円の次年度繰越が生じたが、この主たる原因は初年度に輝度計(68万円)の購入を断念した影響が残っているためである。また、所望のレーザプロジェクタが発売されず購入できなかったことも一因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画に加えて、当初の予想以上に実験作業が増えているため実験作業補助の予算を10万円増とする。また、期待以上の成果が出ており、予定数以上の論文を投稿する予定であり、英文校閲、掲載料で約15万円増とし、成果発表のための旅費も5万円増とする。また、購入を断念した機器のレンタル料に平成27年度も10万円程度を予定している。
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