2014 Fiscal Year Research-status Report
並列処理を組み入れた高速なインパルス性雑音の検出法と除去に関する研究
Project/Area Number |
25330218
|
Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
宮嵜 敬 長野工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10141889)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 画像処理 / スイッチングメジアンフィルタ / インパルス性雑音 / しきい値 / 並列処理 / 検出器 / エッジ抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度における研究では、提案をしているインパルス性雑音を除去するための多方向走査平均処理スイッチング・メジアン・フィルタの改善として、以下の3項目について重点を置いた。一つ目は、フィルタとしての雑音除去性能は高いが誤検出率および未検出も高いという課題にたいして画像を分割化することで細分化された画像ごとに雑音判定に重要な役割を果たすしきい値を可変することである。二つ目は、この細分化した画像ごとのしきい値と画像中のエッジ部分の割合を示す強度との関係を分析して、しきい値を自動的に求められるようにすることである。三つ目は、フィルタのアルゴリズムについてマルチコアCPUを用いた並列化とGPUを用いた並列化よって処理速度を向上させることである。 画像の分割化による画像ごとのしきい値を用いた処理結果では、単一のしきい値を用いた場合と比較して十分良好な結果が得られることがわかった。分割数は細かいほど良い結果が得られるが、逆にしきい値の決定時間が増加することが課題となっている。 アルゴリズムの並列化では、本手法の特徴である多方向からの雑音検出処理をマルチコアCPUに対応させた並列処理による処理速度の実験よって、従来手法と比べて3分の1以下の処理時間に抑えられることがわかった。さらに、GPUを用いた並列化ではその割合は10分の1近い処理時間に抑えられるがわかった。今後、GPUのスレッド数に対する処理時間比を明確にすることが必要と考えられる。なお、画質の比較においては従来法と比較しても遜色のない結果を得ることができた。 最後のしきい値の自動決定に関しては、画像中のエッジ情報との相関がら最良のエッジ抽出フィルタを見つけることができ、そのエッジ強度から導いたしきい値を使うことで概ね良好な結果が得られることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた計画であるスイッチング型の雑音除去フィルタでは重要な役割を果たすしきい値に関して、自動的に決定する方法を開発することが主目的であったが、これに対して画像の中に含まれるエッジ情報から具体的な決定方法を開発することができた。ただし、雑音除去性能として最適しきい値と比較すると若干の画質低下があるため改良の余地が残されている。その他の成果として、画像分割による画像ごとのしきい値設定によって単一のしきい値の画質よりも向上した結果が得られた。さらに、平成27年度の主目的であるアルゴリズムの並列化について、マルチコアCPUおよびGPUを活用した手法を作成しその処理速度の性能を調査することを始められた。以上から、若干計画が年度を前後する項目も含まれているが、十分に目的を達成できていると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27 年度では、前年度までに開発したしきい値の自動化と並列処理アルゴリズムに関して、次のような方策を考えている。しきい値の自動化では、自動的に計算されたしきい値と最適しきい値との間には開きがあるため、この差をできるだけ小さくするために画像の特徴分析をする必要があると考えている。並列処理に関しては、GPUを用いた並列化においてスレッド数と処理時間の関係を明確にすることで、本手法の処理速度に関する他手法と比較したときの有効性を明らかにする。さらに、この並列処理アルゴリズムにしきい値の自動決定の方法を取り入れたアルゴリズムを完成させる。このためには、実用性の評価として高解像度ディジタルカメラで撮影した2400 万画素以上の大量の画像に対して評価試験を行ないながら改良も行なう予定である。今年度が最終年度となるために、これまでの研究において得られた成果について国際会議ならびに数回の学会で発表していく予定である。また、現在投稿中の学術論文2編に加えて、H27年度の研究成果の論文を投稿する予定でもある。
|
Causes of Carryover |
理由として、平成27年度に実施予定であった研究項目であったアルゴリズムの並列化に関して、H26年度に先行して一般に使用されているパソコンのマルチコアCPUおよびGPUと並列専用コンピュータとの差異を検証するためにH26年度には安価なパソコンおよびGPUを用いた評価試験を行ったのがひとつの理由である。また、現在投稿中の論文の執筆が遅れたため、投稿印刷代がH27年度に繰り越してしまったためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度には、並列処理専用のコンピュータおよびGPUの購入により、前年度の汎用のパソコンおよびGPUとの違いについて詳細な比較実験を行なう予定であり、また、前年度に投稿してH27年度に採択がずれ込んだ論文の論文印刷代と今年度に予定している学会発表および論文印刷代とする予定である。
|