2013 Fiscal Year Research-status Report
拡張現実感における視覚・触覚・聴覚のクロスモダリティを用いた感覚提示方式
Project/Area Number |
25330227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 剛史 東京大学, 情報基盤センター, 准教授 (60324860)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロスモダリティ / インタフェース / 視覚 / 触覚 / 聴覚 / 生体情報 |
Research Abstract |
本研究の目的は、拡張現実感環境における人間の五感に対する刺激の新しい提示方式を考案し、仮想オブジェクトの高いリアリティや存在感を感じながらインタラクションできる基盤技術を確立することである。視覚と触覚といった2つの感覚を同時に刺激し、その感覚間の相互作用を用いることで、直接与えた感覚刺激とは異なる知覚を与えることができる可能性が近年の研究で明らかになっている。本研究では、このような感覚間相互作用を有効に扱うための提示手法と、従来手法では不可能な仮想オブジェクトの高いリアリティや存在感を提示するシステムの構築を目指す。本研究は、(1)視触覚クロスモダリティを用いた柔軟な触覚刺激の提示方式、(2)視聴覚クロスモダリティを用いた聴覚刺激の提示方式、(3)視覚・触覚・聴覚のクロスモダリティを用いた三感覚提示方式の3テーマからなる。本年度は、(1)視触覚クロスモダリティを用いた刺激提示として、視覚と前庭感覚のクロスモダリティに着目し、歪んだ世界を見て歩かせた場合に、ユーザの知覚をどの程度変化させることが可能かを検討し、実験システムにおいてユーザの歩行にどのような影響を与えるのかを検証した。また、(2)視聴覚クロスモダリティを用いた刺激提示としては、視覚刺激がファントム音像を異なる位置に提示した場合に、音像知覚にどのような影響を与えるかを調査した。特に提示された音の周波数が音像の知覚方向に影響を与えることを利用して、ファントム音像を提示できない場所で音像知覚させる手法についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視覚と前庭感覚および聴覚のクロスモダリティによるユーザへの影響を調査するための実験システムの構築や、そのための基礎的な知見の収集など、概ね順調な検討が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにクロスモダリティを用いた感覚提示装置を構築するための基本要素に関する研究は順調に進んでいるため、引き続き同じ体制で研究を推進する。また、視覚・触覚のクロスモダリティに関する提案手法の有効性を検証するために、筋電位を用いた客観的評価手法に関しても検討を進めたが、視覚・聴覚のクロスモダリティに関する手法については、より多様な生体情報を利用することが必要であると考えられ、ユーザが知覚した錯覚を評価する方法について、継続して検討を進める。次年度は、視覚と他の感覚のクロスモダリティを考慮した感覚提示装置を構築するために物品費を使用する。実験参加者に長時間に及ぶ拘束が伴う場合には、適切な謝金を支払う予定である。また、得られた成果を対外的に発表するための旅費および学会の参加費、学術論文として研究成果をまとめるための校閲や投稿料などに研究費を使用する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画時の費用と実費との差によって次年度使用額が生じた。 申請当初の計画の変更が必要となる次年度使用額ではないため、当初の計画通り研究を進める。
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