2014 Fiscal Year Research-status Report
擬似的な癖による長期的結果の提示による姿勢矯正促進システムの実現
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25330232
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
金井 秀明 北陸先端科学技術大学院大学, ライフスタイルデザイン研究センター, 准教授 (90282920)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 状況アウェアネス / 行動変容 / 行動随伴性 / 姿勢検出 / 脳活動計測 / 無意識行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「癖の長期的影響を連想させる情報提供手法」を開発し,癖の矯正の効果について検証する. 平成26年度は,平成25年度に開発をすすめた「システムの有用性や効果について検証」を中心に行った.そのため,特に(1)行動随伴性の「嫌子(視覚的疲労)出現による弱化(悪姿勢の減らす)」による矯正行動の誘発の検証内容の策定(平成25年度後半からの継続),(2)策定した検証の実施,その検証データの分析,(3)癖発現状態でない(悪姿勢でない)ことを通知する提示手法の開発を行った. (1)については,検証実験では,実験システムのアルゴリズム部分の検証に焦点をあてるため,オズ法を採用した.実験では,被験者の姿勢の悪化を誘発するために,視覚探索課題を採用した.近赤外光による脳内のヘモグロビン濃度変化に基づいた注視点での脳活動計測(既設 日立 WOT220)を行い,作業への集中度や内容の認識度の計測を行った.また,ビデオによる実験中のユーザ分析およびアンケート調査を行った. (2)については,(1)の実験で比較通知手法として,「文字通知」,「画像通知」,「音声通知」および「提案手法(注視点付近の解像度を低下させる手法)」に対して評価実験を行った.その結果,提案手法が被験者の通知内容への認識度としては高かった.また実験課題の難易度が高くなるに従って,実験作業への妨害度が低くなる傾向であった.ただし,姿勢矯正については「音声通知」がもっとも効果があり,2番目に提案手法が効果があった.その結果,総合的には提案手法が効果的であることが確かめられた. (3)については,悪姿勢でない場合,すなわち適切な姿勢であるときには,注視点付近の解像度に変化を与えないこととした.この提示手法は,作業への関与をなくすことで実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,平成25年度に開発をすすめた「システムの有用性や効果について検証」を中心に行った.そのため,特に(1)行動随伴性の「嫌子(視覚的疲労)出現による弱化(悪姿勢の減らす)」による矯正行動の誘発の検証内容の策定(平成25年度後半からの継続),(2)策定した検証の実施,その検証データの分析,(3)癖発現状態でない(悪姿勢でない)ことを通知する提示手法の開発を行った. (1)および(2)に関しては,その成果を平成27年3月に学会発表する予定であったが,実験データの検討に時間を要し,平成27年5月に学会発表する. (3)に関しては,注視点付近の解像度に変化を与えないことで実現した. 以上のことから,研究発表時期に若干の遅れが生じたが,実験計画と照らして,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,概ね順調に進展したと判断した.今後は,申請時の研究計画に従って,平成27年度は,平成26年度に実施した提示手法のアルゴリズム部分の有効性の検証結果に基づき,アルゴリズムの改良を行う.改良した提示手法を利用したデスクトップ型の実験システムの評価実験を行う.その際には,平成26年度に実施した評価実験同様に,光トポグラフィによる脳活動計による評価実験用タスクへの集中度や提示情報への認識度を詳細に検証する.平成26年度実施内容(3)について,より積極的に適切な姿勢を保つことを支援するために,行動随伴性の「嫌子(腰痛)消失による強化(適切な姿勢を促す)」によって矯正行動を促す機能を,開発システムの機能に追加する予定である.この機能追加自体は,平成27年度の前半で実現を予定している.
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Causes of Carryover |
論文誌の掲載費用を予算に計上していたが,投稿した論文が最終的に不採録となったため,未使用額が生じた.また,評価実験参加者への謝金のための予算を計上してあったが,参加者がボランティアとして実験に参加してくださったため,人件費・謝金の予算項目の支出が当初の計画と異なった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は,平成26年度に不採録となった論文を含めて,複数論文の論文誌掲載を目指す.論文採録の際に必要となる掲載費用に,平成26年度で生じた次年度使用額を支出する予定である. システム評価実験参加者を増やし,その際に必要になる謝金費用に,平成26年度で生じた次年度使用額を支出する予定である.
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Research Products
(6 results)