2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代クラウドソーシングにおける協調作業環境を実現するアプリケーション多態化基盤
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25330236
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中島 誠 大分大学, 工学部, 教授 (00253774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クラウドソーシング / アプリケーション共有 / 多態化基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
任意のアプリケーションを多態化させてマルチユーザ化するためのソフトウェア開発基盤(多態化基盤)の実現を目的として,以下の成果を挙げた。 1.アプリケーションのマルチユーザ化に必要なコア技術を抽出し,それをもとに,タブレット端末上からPC上の任意のアプリケーションを操作できるインタフェースシステムを実現した。 身体に障害を持つ企業就労者のためのシステムで,Webブラウザを有する端末からであれば,任意のPCを操作できる。 2.日常的によく利用される,文書編集やプレゼンテーション用アプリケーションをマルチユーザ化して,遠隔PC上からの操作実験を実施し,多態化の評価,問題点の洗い出し,さらに改善を行った.アプリケーションウィンドウだけでなく,メニューやダイアログなどのテンポラリウィンドウの起動と操作を遠隔PC上から円滑に行えるようにする仕組みを整理し実現した。 3.多態化技術の評価の一環として,同じアプリケーションでも,異なるバージョンのインタフェースデザインに慣れたユーザが,慣れたデザインのまま,遠隔PC上のアプリケーションを操作できる操作互換の仕組みを実現した。さらに,Web上のコンテンツの一部を,著作権を侵害せず自由に利用できるハイパーテキスト作成支援環境を,ウェブブラウザを多態化させることで実現した。 4.上記1については,実際の企業就業者による評価を行い,成果は,情報処理学会火の国シンポジウム2015で発表し,一部の技術を特許として出願した。2015年6月に台湾にて開催されるIEEEの国際会議ICCE-TW2015の講演論文にも採択された。2の成果は平成27年度電気・情報関係学会九州支部連合大会にて発表した。3の操作互換の仕組みについては電子情報通信学会論文誌Dに論文として掲載され,ウェブブラウザの多態化結果も,電子情報通信学会九州支部学生会において成果発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定した3つについて,以下のとおり概ね遂行できた. 1.多態化の評価と問題点の洗い出し,および改善については,メニュー等のテンポラリウィンドウであっても,遠隔PC上から問題なく利用できる仕組みの勘案とともに,具体的に多態化を行ったことで,当初の予定通りに進めることができた. 2.タッチパネルを利用できるアプリケーションへの多態化については,タブレット端末上で利用できるアプリケーションの実装を行い,その予備評価も完了した。その過程で,円滑な操作を実現するための仕組みについても実現し,評価をすすめている。 3.図書館でのアクティブラーニングを支援するアプリケーションを既存アプリケーションの多態化によって実現する予定については,特に初学者が図書館利用時に抱える問題点等を洗い出し,ナビゲーションシステムの不備についての所見を得ている。その対処のためのアプリケーションの設計に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの成果をもとに,多態化基盤としてのSDKの設計に着手する。これまでに,開発した技術を用いて様々なアプリケーションの多態化の経験から,多態化のためのコア技術の抽出を進める。同時に,SDKのためのインタフェースデザインを行う。これまでのアプリケーションの多態化を再現しながら,その評価と問題点の洗い出し,および改善を行い研究の総括として論文としてまとめる。多点認識可能なタッチパネルを利用できるアプリケーションへの多態化は,高性能テーブル型ディスプレイを対象にその評価を行う。大分大学学術情報拠点図書館でのアクティブラーニングを支援する科目別学習支援ブースやラーニング・コモンズで利用するアプリケーションの多態化を実現し,その試行を進める。整備した多態化基盤のWebを介した公開を視野に入れる。
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Causes of Carryover |
まず,当該年度で購入した物品(高速演算サーバー用SSD等),および国内学会への出張旅費が想定を下回った。また,謝金については,アプリケーションの多態化についてのユーザスタディのため,実験補助を依頼する大学院生のために計上していたが,多態化基盤の有効性を明確にするために,それを使ったアプリケーション開発を優先すべきと判断し,最終年度にユーザスタディを実施することにしたためである。また,論文投稿料が当初の想定を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費は,平成27年度分と合わせて使用する。一部はタブレット端末を予定より拡充して購入する物品費に充てることで,図書館向けアプリケーションの評価に利用する。旅費,謝金,およびその他も,それぞれ平成27年度分と合わせて使用する。旅費については,6月に台湾にて開催される国際学会での成果発表が決定済みで,その出張旅費の一部とする。
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