2013 Fiscal Year Research-status Report
多視点対応ピクセルの積層構造を利用した裸眼立体視ディスプレイ
Project/Area Number |
25330251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
後藤田 洋伸 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (80300705)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報システム / ディスプレイ / 立体視 |
Research Abstract |
本研究では,「多視点対応ピクセル(multiscopic pixel)から構成された透過パネルを積層することによって立体画像の表示を行なう」という裸眼立体視の新たな方式を提案し,その理論的な解析を行うと共に、プロトタイプの実装・評価を行なうことを目的としている。ここで,多視点対応ピクセルとは,見る向きによって表示色が変化するピクセルのことで,視線依存ピクセル(view-dependent pixel)とも呼ばれる。このような特殊なピクセルを並べたパネルを積層すると,通常の液晶パネル等を積層した場合に比べて,立体像をより正確に再現することのできる裸眼立体視ディスプレイになることが期待されている。 平成25年度は,多視点対応ピクセルの積層構造に対する理論的な解析を行ない,裸眼立体視に有効な積層方法を見い出すと共に,裸眼立体視を実現する際に必要となるピクセルの制御方法を確立することに焦点を当てて,研究を進めた。よく知られているレンチキュラーディスプレイでは,通常の液晶パネルの前面にレンチキュラーシートを貼り付けることによって,液晶パネル内のピクセルを多視点対応ピクセルへと変換する。しかし,このようにして作られたパネルは,積層しても制御することが極めて難しく,裸眼立体視にはあまり向かないことが分かった。そこで本研究では,液晶パネルの前面だけでなく,背面にもレンチキュラーシートを貼り付けるという方法を考案した。この方法では,少数枚(2~4枚のケースをシミュレーションで検証)のパネルの積層であれば,ピクセルの制御がさほど困難ではなく,立体像の表示も可能であることが分かった。また,通常の液晶パネル等を積層した場合と比較すると,若干の画質の劣化は見られたものの,物体の遮蔽関係の表示がより正確になることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多視対応ピクセルの構成方法として,当初は1枚のレンズシートを液晶パネルの片面に貼り付けるという方法を考えていたが,数値シミュレーションの結果などを踏まえ,2枚のレンズシートを液晶パネルの両面に貼り付ける方法に変更した。この方針転換に伴い,基本的な方式の確認は完了したものの,理論解析(種々のパラメータと画質,被写界深度など関係に関する解析)が不十分なままになっている。これらについては,次年度以降に解明していきたい
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Strategy for Future Research Activity |
[現在までの達成度]の項で述べた理論解析の不足について解消すると共に,プロトタイプの実装へと研究の軸を移していく予定である。平成26年度は,2層の透過パネルを積層したモノクロディスプレイのプロトタイプを構築することにしている。使用するレンズシートは,マイクロレンズアレイではなくレンチキュラーシートを用いることとし,水平方向のみの視差を提供する裸眼立体視ディスプレイを構築する。プラスチック製のレンチキュラーシートをの使用を予定しているが,レンズ内で生じる偏光が画質に影響を与えることも想定される。ピクセルの制御プログラムを修正するなどして,こうした影響を最小限に押さえ込む方法を模索することにしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品として購入した液晶パネルを,当初の予定よりも低い価格で入手できたが,旅費が当初の予定を上回ったため,差額が生じた。 平成26年度は,レンチキュラーシートの購入や,それを液晶パネルに固定する器具の購入などを予定している。これらの主要物品に付随する軽微な物品(光学フィルム等)の購入に充てることにしたい。
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