2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子に量子ビット表現を用いた進化計算による順列最適化
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25330265
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
飯村 伊智郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (50347697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 賀文 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10413866)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソフトコンピューティング / 人工知能 / アルゴリズム / 情報工学 / 進化計算 / 計算知能 / 量子ビット表現 / 順列最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,HanらやDraaらによる量子ビット表現に基づく遺伝子表現を拡張し,順列最適化を可能にする量子ビット表現に基づく遺伝子表現法について検討した. 平成25年度(初年度)から平成26年度にかけて,我々の研究グループでの先行研究の成果を踏まえ,量子ビット表現に基づく整数型遺伝子表現法における二つの順列解釈法を提案し,順列最適化問題の一つである巡回セールスマン問題(Traveling Salesman Problem: TSP)を対象とした評価実験を行った.実験の結果,比較的小さな規模のTSPではあるが,量子ビット表現を用いても,最適解を発見できることを明らかにした.しかしながら,整数型遺伝子表現法における順列解釈法は,順列最適化に適した遺伝子表現法であるとはいえず,探索性能の面においてさらなる研究の余地があった. そこで,量子ビット表現を用いても順列最適化を可能とする,より適切な遺伝子表現法を再検討し,平成26年度末に新たな遺伝子表現法を提案した.各都市および各経路に量子ビットを割り当てた提案手法は,順列により適した遺伝子表現法であり,TSPの近似解法の一つであるk-Opt法と同様の局所改善効果が期待された. 平成27年度(最終年度)には,提案手法のk-Opt的な局所改善効果を確認するための追加実験を行った.追加実験の結果,提案する遺伝子表現法を用いることでk-Opt的改善頻度が高まり,より効率的に解を探索できていることが確認できた.また,解探索の序盤では繋ぎ直された経路数の多いk-Opt的改善が多く,解探索が進むにつれて,繋ぎ直された経路数の少ない,局所的な解の改善へと移行することが分かった. 本研究で提案する遺伝子表現法を用いることで,量子ビット表現の適用範囲を拡大でき,整数型の遺伝子を必要としかつ求めるべき解が順列である組合せ最適化問題を取り扱うことができるようになった.
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