2013 Fiscal Year Research-status Report
画像診断支援システムのための離散時間振動子ネットワーク系の機能的設計に関する研究
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25330288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤本 憲市 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20300626)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 離散時間振動子結合系 / 動的画像領域分割 / カオス振動応答 / フラグメント / 最大リアプノフ指数 |
Research Abstract |
本研究代表者らは,離散時間振動子を結合したネットワーク系を構築し,振動子応答の同期現象を有効利用した動的画像領域分割法を考案している。本研究の目的は,離散時間振動子結合系を画像診断支援システムに適用するため,振動子間の結合方式,カオス振動応答の有効利用,系のパラメータ最適化など,結合系の機能的設計に関する検討を行うことである。平成25年度に得られた研究成果は以下のとおり。 1.星型に結合した離散時間振動子を構築し,数個の濃度値を持つ画像入力を想定した場合の縮約系を解析することにより,振動子から非周期的振動応答(カオス振動応答)が発生するパラメータ値を求めた。さらに,カオス振動応答を有効利用することにより,単一のフラグメント(類似濃度値を持つ画像領域)だけでなく複数のフラグメントが組み合わされた画像も抽出できること,すなわち,フラグメント集合(画像領域分割結果の候補群)の生成が可能であることを見いだした。 2.カオス振動応答の発現が期待されるようにパラメータ値を設定した星型結合系を用いて,3次元画像における特徴画像領域を1スライス画像毎に自動抽出するための逐次的アルゴリズムを提案した。さらに,3次元CT画像を用いた実験を通じて,提案アルゴリズムが有効であることを例証した。 3.上述のとおり,カオス振動応答が画像領域分割処理において有用であることから,カオスが発生するパラメータ値を最大リアプノフ指数に基づいて自動探索する手法を考案した。また,カオスを生成する離散時間力学系に対する数値実験を通して,本考案法の有効性を確認した。なお,このパラメータ自動探索法は,離散時間振動子結合系に限らず一般的な離散時間力学系に対して適用できることから,高い汎用性を有する。 これら研究成果の一部を国際会議で発表したとともに,学術論文および書籍の原稿として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
星型に結合した離散時間振動子系の縮約系においてカオス振動応答が見られるパラメータ値を求めるとともに,カオス振動応答を利用することで複数のフラグメントを生成できることを見いだした。さらに,一般的な離散時間力学系において,カオスが発生するパラメータ値を最大リアプノフ指数に基づいて自動探索する手法を考案した。これら研究成果を研究目的および研究実施計画に照らし合わせれば,本研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
画像領域分割処理における計算コストを削減するため,振動子ダイナミクスの次元削減を検討するとともに,様々な結合方式の振動子ネットワーク縮約系における同期現象の解析を継続する。特に,類似濃度値の振動子がほぼ同相で同期し,他の濃度値の振動子とは異なる位相差で同期するというクラスター同期現象に着目して研究を進めていく予定である。
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