2015 Fiscal Year Research-status Report
神経筋骨格系の動力学を考慮した身体運動の変動性の解析
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25330311
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山崎 大河 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (40364096)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペダリング / ばらつき / 筋骨格系 / 逆動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ペダリングにおける関節角速度とクランク角速度の関係に着目した Uncontrolled Manifold 解析(UCM解析)の手法を新たに開発した.足漕ぎ車いすにおいて一定速度を目指したときのペダリング運動にみられる関節角速度のばらつきは,クランク角速度に影響を与えないように偏っていることを示した.これはクランク角速度に影響する関節角度のばらつきは抑制しつつ,クランク角速度に影響しない関節角度のばらつきは許容するという運動制御系の働きを示唆している.さらに,一部の関節に伸縮性のバンドを巻きつけて動きにくくした状態で同様の解析を行った場合,クランク角速度に影響する関節角度のばらつきは同程度であるが,クランク角速度に影響しない関節角度のばらつきは減少する傾向があることを示した.これは神経系が代償的な制御を行なっていることを示唆している. (2) ペダリングにおける下肢の運動の計測データを,2次元の閉リンクモデルの運動に近似的に整合させるための手法を開発した.開発の理由は,整合をとらない場合,計測データとモデルの運動との誤差が一部の関節やセグメントの運動に集中することで,解析結果への影響が懸念されたからである.しかし,実際に解析してみると,自転車ペダリング運動でのUCM解析においては,このような整合が解析結果に与える影響は予想よりも小さいことが示された. (3) 運動計測のデータをもとに,筋骨格系の逆動力学問題を解き,筋の活動度や神経の興奮度を推定する手法の改良を行い,従来よりも高精度の推定を可能にした. (4) 運動のばらつきの偏りは,神経系が達成しようとしている関節間協調とも深く関わると予想されるため,起立・着座運動,立位姿勢,鉄棒運動などにおいて,関節間協調の果たす役割について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
運動の変動性を,関節角度,関節トルク,筋活動,関節間協調の制御などの面から理解するための,要素的な研究については一定の成果が得られている.一方,要素的な研究を総合的にまとめる部分については,当初計画に照らし,進捗が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
立位や起立・着座運動などの解析を行うために必要な実験系の構築を進めるとともに,運動の変動性を,運動学,動力学,制御の意味から総合的に理解し,評価できるような研究への発展に力を入れていく.
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Causes of Carryover |
ペダリング運動における計測データとモデルとの整合をとる手法の開発,筋の活動度や神経の興奮度の推定手法の改良,立位姿勢や起立・着座における運動のばらつきを調査するための基礎検討に時間をとられ,実験系の構築が遅れたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フォースプレートやモーションキャプチャ装置などの導入を含めて,立位や起立・着座運動などの解析に必要な高精度の実験系の構築を目指す.
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Research Products
(6 results)